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2016 年度 実施状況報告書

ハーム・リダクションの社会学─薬物政策をめぐる現代的変化とその含意に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 15K03901
研究機関関西学院大学

研究代表者

佐藤 哲彦  関西学院大学, 社会学部, 教授 (20295116)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードハーム・リダクション / 薬物政策 / 薬物
研究実績の概要

平成28年度は、本務校における長期留学と重なったため、主として欧州地域における調査を集中的に執り行った。
まず、ハーム・リダクションの初期の動向に関連する諸文書を、大英図書館をはじめとした各地図書館で収集するとともに古書店などから直接購入した。次に薬物使用者組合の組織をはじめとして、ハーム・リダクションの初期からその活動にかかわっている人びとを直接訪ね、その過程について詳しくインタビューを行うとともに、現在の彼らの活動についても見学し観察し、また彼らと連携して活動している人びとにもインタビューを行うとともに、その活動も見学し観察した。インタビューを行った人びとの国々は以下の通りである:イギリス(留学先であるためにロンドンだけでなく各地で複数回にわたって調査を行った)、オランダ(アムステルダム、ロッテルダム)、オーストリア(ウィーン)、ポルトガル(リスボン)、ドイツ(フランクフルト、ベルリン)、スイス(チューリッヒ、ジュネーブ、ベルン)、レバノン(ベイルート)。合計で約30人のインタビューを行い、ハーム・リダクション初期の動向についてはかなり詳しい過程が明らかになったと考えられる。とくにPUDに関連する動向や、現在のハーム・リダクションの問題点について、何人かの実践家や研究者から意見を聞くことが出来た。加えて、オランダの民間研究期間においてハーム・リダクションに関する報告を行い、研究員らから意見をもらうことができた。
さらに、同時に日本や中東北アフリカ地域のハーム・リダクションの展開については学会に参加し、またオーガナイザーにインタビューをするなどして調査を行った。その結果、とくに日本ではハーム・リダクションが大きく誤解されたままであること、しかしそのような展開を可能にすることそのこと自体がハーム・リダクションの一つの特徴でもあることなどが明らかになったと考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

研究申請当初は予定されていなかった長期留学のため、平成28年度はその機会を利用して各国各地にインタビュー調査に出かけることができ、予定以上に調査が進んだ。また同時に調査途中で得た情報により、より多くの関係者にインタビュー調査を行うことができた。

今後の研究の推進方策

今後は平成28年度に得たインタビュー調査データの書き起こし及び文献資料の整理に基づいて、調査のまとめを行うとともに、それを踏まえた学会報告などを行うことを予定している。また同時に、一般に分かりやすい形での情報提供を考え、一般雑誌の記事や書籍などの執筆などを視野に入れている。さらにオランダの研究者や実践家から、今回の調査研究に関しては欧州でも重要な論点を含んでいる一方でまとまった文献資料がないため、英語でのパブリケーションを勧められており、それも視野に入れておく。

次年度使用額が生じた理由

平成28年度は大学派遣長期留学により欧州をベースに調査を行うことができたたため、当初予定した以上にインタビュー調査を行うことができた。そこで平成29年度の分を前倒し的に使用することで、当初の予定を遙かに超えるペースで、また当初の予定以上の成果を得ることができた。ただしその間、欧州都市間の航空運賃などを節約して使用したため、差額が生じた。これについては翌年度に使用することとした。

次年度使用額の使用計画

平成29年度は当初から成果発表を中心に行う年度として計画されている。そこで、学会発表旅費については学内研究費(個人研究費および学会出張費など)を利用して、国内学会での報告と論文執筆を中心に研究を実施するとともに、何らかの形で一般に研究成果を公表する記事の執筆や書籍の執筆を行うことを計画している。すでにオランダで発表した研究(平成28年3月、ロッテルダム)をベースに、日本社会学会での研究報告(11月)、論文執筆(すでに開始)、一般的な成果発信(5月開始)を計画している。次年度使用額はインタビューデータ書き起こし費や英文校正費などに充てることとする。

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公開日: 2018-01-16  

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