福島原発の原発ディアスポラたちは、避難者同士のネットワークに加えて、子どもの成長に伴って地域のネットワーク(学校や地域、再就職した職場での繋がり)にも加わるようになっている。時間の経過とコミュニケーションの変容によって移住先の社会にそれぞれの居場所を獲得している反面、原発や食品の 選考などの面で確固たる信念を持ち続けている面も確認された。この人々は、原発事故の影響を考慮し少しでも「安心」と思える場所に住まいを変えてきた。だが、そうした考えを持つことや実際に移住を実現すること、そしてそのことを表明することに対して、2010年代の日本社会は決して寛容ではない。その不寛容さがその人々を苦しめている。
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