研究課題/領域番号 |
15K03913
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
山井 弥生 (斉藤弥生) 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (40263347)
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研究分担者 |
遠藤 知子 大阪大学, 人間科学研究科, 講師 (00609951)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 社会的企業 / 介護サービス / 医療 / 協同組合 / ペストフ / co production / 利用者参加 / 協働 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は社会的企業が供給する介護や医療が生み出す社会的価値に注目し、その価値を生み出す要因を解明し、その測定方法を開発することにある。またオストロム、ペストフらが展開する共同生産(Co-Production)概念を日本における調査の結果を踏まえて、より発展させようとするものである。 平成27年度には質問紙調査の実施と集計作業を行う計画であったが、調査対象者の範囲、サンプリングの方法、調査票の配布と回収の方法などの調査実施方法の再検討に時間がかかり、最終的には質問紙を完成させ、プレ調査の実施までとなった。 (1)調査票の完成とプレ調査の実施:調査設計に基づき、「職員対象」「利用者対象(入所系・通所系)」「利用者対象(訪問系)」「ボランティア対象」の4種類の調査で用いる設問を確定し、また回答しやすさを考慮し、マークシート方式の質問票を作成した。(うち本研究で用いるものは「ボランティア対象」調査。)現在、各100サンプルずつのプレ調査を実施している。 (2)研究発表(一部):国際学会で3本、日本国内で1本の学会発表を行い、また関係学会が開催したシンポジウムなどで研究の一部を発表した。発表の内容は、過去3年にわたり、JA厚生連、医療生協を対象に実施してきた質的調査の結果、またその結果を踏まえて作成した量的調査の調査設計を主に取り上げている。 本研究は国際共同研究であり、海外研究協力者であるヴィクトール・ペストフ氏(エーシュタ・シュンダ―ル大客員教授/スウェーデン)、ヨハン・バムスタッド氏(同大学准教授)とは国際学会において共同で研究発表を行い、また2015年9月に両氏を日本に招へいし、南医療生協の取り組みについてのヒアリング調査、および質問紙調査についての最終調整の研究会を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の開始時にはすでに調査票で使用する設問はほぼ完成していた。しかし調査実施方法を検討する中で、「職員対象」「利用者対象(入所系・通所系)」「利用者対象(訪問系)」「ボランティア対象」の4種類の調査票をつくることとなり、その調整と作成に時間がかかった。また海外研究協力者であるペストフ氏とバムスタッド氏が日本で行う研究会に参加できる機会が限られている。さらに設問の詳細について調査対象者から質問項目についての意見を受けるのは日本語であり、それを英語にして海外研究協力者に伝えることにも予想以上の労力を必要とした。しかしながら、回収率を高めるための工夫が施されたマークシート方式の調査票を完成させ、プレ調査の実施ができたことは初年度としては大きな成果である。初年度に調査設計と質問項目の検討に十分に時間をかけることができたことは、今後の効率的な運営や成果への期待につながると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後はプレ調査の結果を分析して、調査票の設問を再検討し、7月には本調査を実施し、ペストフ氏、バムスタッド氏を招へいする9月までには調査票を回収し、単純集計の結果を出すことを目標としている。調査票は集計作業の労力削減を考えて、マークシート方式にしたため、スムーズにできると思われる。特に大きな課題は見当たらないが、本研究は3年間で終了するため、作業を少しずつスピードアップさせたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査票に使用する設問の検討と最終決定に時間を要したため、年度内に調査票のデザインおよび印刷、調査実施ができなかった。すでに設問は完成しており、次年度(2016年度)には印刷、調査の実施、集計が可能であり、計画通りの予算を執行する予定である。
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次年度使用額の使用計画 |
2016年4月にプレ調査用の調査票を印刷し、集計、分析作業を行う。2017年5月にプレ調査の結果をもとに調査票に若干の修正を加え、6月中に調査票を印刷。7月~8月に本調査を実施し、9月に集計作業を行う計画である。
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