研究課題/領域番号 |
15K03914
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
新崎 国広 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (10362740)
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研究分担者 |
神部 智司 大阪大谷大学, 人間社会学部, 准教授 (10342164)
川島 ゆり子 花園大学, 社会福祉学部, 教授 (50507142)
佐藤 陽 十文字学園女子大学, 人間生活学部, 教授 (70364859)
野尻 紀恵 日本福祉大学, 社会福祉学部, 准教授 (70530731)
山中 徹二 大阪人間科学大学, 人間科学部, 助教 (90712430)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 福祉教育・ボランティア学習 / 福祉共育コミュニティ / 教育支援人材 / コミュニティスクール / 学びの生成 / インフォーマルエデュケーション |
研究実績の概要 |
2年目にあたる平成28年度は下記の通り理論的・実証的研究を行った。 1.福祉教育・ボランティア学習におけるトライアンギュレーションによる理論的・実証的研究 ①量的調査研究としては、昨年度実施した大阪府内教育委員会への「福祉教育実態調査」(質問紙票による量的調査)の分析・評価を研究分担者である神部氏と行い、過去の調査と比較分析する等を行った。②質的調査・理論研究の成果は、平成28年6月に開催する第31回日本地域福祉学会松山大会自由研究発表で「福祉教育・ボランティア学習の視座からの子どもの居場所づくり実践研究-子どもの居場所づくり実践における「学びの生成」の可能性を探究する-」を発表した。この発表では、子どもの居場所・学習支援を行っている10事例を分析し、個々の実践を検証 するなかで、アクションリサーチにおける「学び」の生起とその客観的な評価の困難性についても実感できたが、居場所・学習支援にかかわる子どもだけでなくボランティアやソーシャルワーカー双方にとっ てのインフォーマルエデュケーション(無意図的な学習)の生起の可能性がうかがえた。 2.学校と地域・家庭協同による開発的「地域福祉共育コミュニティ実践モデル」の実証的研究 ①「地域福祉共育コミュニティ」の実体化を図ることで学校支援地域本部事業・コミュニティスクール事業(学校運営強機会制度)の協同化に資する研究では、継続的にアクションリサーチを行っている宮崎県都城市立山田中学校において、日本福祉教育・ボランティア学習学会全国大会を開催し「学校と地域の協働を促進する教育支援人材の役割と意義」について、今までの研究成果を発表した。②この「教育支援人材の役割と課題」については国立大学協会研究集会でのも発表し優秀発表として平成29年3月発行の国立大学協会研究紀要に依頼論文として掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究が当初の計画以上に進展した理由は下記の通りである。 Ⅰ.「福祉教育・ボランティア学習を基点としたトライアンギュレーション手法を用いた研究」については、 ①量的研究については。平成28年度は大阪府内(大阪市、堺市、豊中市はじめ9つの市町教育委員会の協力を得て実施した「学校における福祉教育(福祉活動)の取り組みに関する調査(量的研究)」の集計結果を研究協力者である神部智司氏と協働で分析した。その成果を平成28年度6月に開催される日本地域福祉学会松山大会で神部氏が報告する予定である。②質的調査については、第30回日本地域福祉学会松山大会の自由研究発表において「福祉教育・ボランティア学習の視座からの子どもの居場所づくり実践研究-子どもの居場所づくり実践における「学びの生成」の可能性を探究する-」で研究の成果を報告することを予定している。 Ⅱ. 学校と地域・家庭協同による「地域福祉共育コミュニティ実践モデル」の開発的・実証的研究については、①北海道教育大学・愛知教育大学・東京学芸大学と本学(大阪教育大学)の協働研究プロジェクト(HATO教育支援人材養成プロジェクト)での研究協議の成果を、平成28年度日本教育大学協会研究集会で研究発表「学校と地域の協働を促進する教育支援人材の役割と意義」というタイトルで発表し、優秀集発表に採択された。②中学校1校(宮崎県都城市立山田小学校)や本研究に賛同し協力いただいている10名の研究協力者(福祉教育・ボランティア学習実践者)の実践を視察し、研究代表である新崎も参与型観察研究(アクションリサーチ)を行い、そこで得た知見を、本学の研究紀要「発達人間学論叢第18巻」で報告を行った。
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今後の研究の推進方策 |
【今後の研究を推敲するにあたっての課題と対応策】 「学際的研究ネットワーキングの充実・機能化」に努めているが、個々の研究分担者が多忙なため、個別のテーマ別の研究協議は行っているが、本研究者全体での合同協議は、学会や福祉教育研究会等以外はなかなか定期的な研究協議の場が設定できずメール等での協議にとどまっている点が、最終年度の課題である。この点についての対応策としては、2017年9月9日~10日に本研究者および一部実践者で宿泊研究協議を予定しており、個々の研究成果をブラッシュアップし、研究のアウトプット(集大成の発信)の方針を検討する予定をしている。 【今年度の計画】 ①平成28年度の本学の研究紀要で報告した10名の研究協力者(福祉教育・ボランティア学習実践者)を中心に、個々の実践の視察やゼミ学生による参与型観察研究(アクションリサーチ)実施するのと並行して、グループフォーカスインタビューを行い、個々の実践から生起する学びの意味について論考し、所属学会で発表し、最終報告書にその研究成果を報告する。②前述したHATO教育支援人材養成プロジェクトにおいて、学校と地域・家庭の協働による「地域福祉共育コミュニティ」の創生に寄与する4大学共通の「教育協働・支援人材」カリキュラムを構想している。③平成29年度は、本研究の最終年度にあたるため、今までの所属学会や研究紀要等で発表してきた研究成果を集約し最終報告書を編集・発行する。できれば本研究で得た知見を、研究者のみならず福祉教育・ボランティア学習に携わる教員・ソーシャルワーカーその他教育協働人材・教育支援人材が今後、研究・教育・実践する際に役立つことができるように、一般書籍として刊行できるように、研究分担者(研究者)や研究協力者(実践者)を企画・検討を行っている。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究推進方策でも書いたが、次年度使用額が生じた原因の一つに、「学際的研究ネットワーキングの充実・機能化」に努めているが、個々の研究分担者が多忙なため、分野毎の個別のテーマ別の研究協議は行っているが、本研究者全体での合同協議は、学会や福祉教育研究会等以外はなかなか定期的な研究協議の場が設定できずメール等での協議にとどまっているため、旅費や会議費等の予算が使用できなかったため、
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次年度使用額の使用計画 |
今年度は最終年度にあたるため、現時点では最終報告書作成に向けた9月11月の2回「学際的研究ネットワーキング会議」を予定している。また、本研究で得た知見を広く伝達するために最終報告書の作成と、貧困の連鎖を防止するための学習支援や居場所づくりの研究を行っている研究機関や実践団体への配布を検討している。このための最終報告書の制作費や郵送代が申請予算より高騰しているのでその費用に留保している。
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