研究課題/領域番号 |
15K03915
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
宮本 恭子 島根大学, 法文学部, 准教授 (50709128)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 家族支援 / 介護保障システム |
研究実績の概要 |
本研究は、日・独・英の国際比較の視点から。日本の家族の変容に対応できる介護保障システムに対応する家族に対する社会的支援のあり方を探ることを目的とするものである。平成28年度は、平成27年度に引き続いて、日本、ドイツ、イギリスにおける介護保障システムと家族支援の関係に関する資料・文献の収集・整理を行い、ドイツでの現地調査を実施した。 日本・ドイツ・イギリスにおける介護保障システムと家族支援に関する理論的検討を行った結果、ドイツは日本と同様に介護保険制度を介護保障の中心とし、介護保険制度の枠組みの中で家族を社会的に評価する仕組みを整備していることが明らかになった。イギリスは、日本と異なり、介護保険は導入されていないが、民間団体等による支援を充実、促すための仕組みがビルトインされており、インフォーマル部門、民間非営利団体が重要な役割を果たしていることが明らかになった。 次に、ドイツでの現地調査を行い、実際のドイツの家族支援の構造的特徴を把握した。ドイツでは、現金給付が要介護者の権利を達成する手段として機能していること、現金給付を活用した在宅での外国人労働者の活用が進んでいることが明らかになった。また、ドイツの介護保険の在宅介護重視の理念は、この外国人の活用に支えられていることが明らかになった。現金給付の導入が、家族支援と介護保険の理念の達成の両方に貢献している。日本では、介護保険導入時に現金給付に関する議論が出たが、導入されずに今日に至っている。日本の介護保障システム、家族支援のあり方を検討するにあたり、現金給付の議論は重要なポイントのひとつであることが示唆された。7
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、平成28年度は既存研究の文献調査、文献レビューを行った。また、ドイツの家族介護の実態についてヒアリング調査を行った。ドイツの現地調査では、政府機関、関係機関、民間非営利団体、介護施設等を対象にヒアリングを行い、当初の予定より多くの情報を入手することができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度に引き続き、日本、ドイツ、イギリスの文献調査を行い、当初の予定通り、イギリスでの現地調査を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画通り、平成28年度は日本、ドイツ、イギリスの既存研究の文献収集・文献レビューを行った。また、当初の予定通りドイツでの現地調査も行った。予定していたイギリスの現地調査については、イギリスの既存研究・資料・統計データ分析については、より多くの英語文献を入手することができた。その整理・分析に時間を要したため、現地調査の日程が当初の予定案より遅れているが、予定の研究期間内には、目的を達成できる見込みである。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度以降は、平成28年度に実施した分析結果を基礎資料として、現地でのヒアリング調査を実施する予定である。それに先立ち、イギリス等の研究者らと連携し、調査の具体的な準備を進めている。
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