研究課題/領域番号 |
15K03917
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
杉崎 千洋 島根大学, 学術研究院人間科学系, 教授 (60314613)
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研究分担者 |
小野 達也 大阪府立大学, 人間社会システム科学研究科, 教授 (30320419)
正野 良幸 京都女子大学, 家政学部, 講師 (90514167)
金子 努 県立広島大学, 保健福祉学部(三原キャンパス), 教授 (70316131)
越智 あゆみ 県立広島大学, 保健福祉学部(三原キャンパス), 准教授 (60445096)
中村 明美 武庫川女子大学, 文学部, 准教授 (20390180)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 見守りネットワーク / 緊急時対応 / 地域包括ケア / 医療 / 傷病 / 虐待 / がん / 住民 |
研究実績の概要 |
1.見守りネットワークによる緊急時対応をした人とその遠近構造の分析:島根県松江市内の地域包括支援センター職員が実施した傷病46人、虐待35人の第一発見者などの調査結果をクラスター分析し、コンボイモデルを用いて模式化した。最も大きな位置を占めていたのは専門職であり、住民の位置はそれほど大きくなかった。緊急時対応の主軸は専門職であり、このことを踏まえた上での見守りネットワーク構築が必要である。 2.がんサロンの参加者同士による見守り研究:島根県内の地域がんサロンでは、がん患者やがん体験者、家族などが、治療の有無に関わらず参加する。サロンに参加しなくなった患者などには見守りや配慮、独居のがん患者の緊急時対応として医療・行政への連絡の機能が見られた。地域で療養するがん患者、体験者同士の見守り活動を行える可能性を示唆した。 3.住民側から見た見守り・緊急対応分析:住民による見守りの多くが高齢者を対象としたものであり、日常生活に焦点を当てている。救急時の対応を考えようとすれば、住民による見守りの目的や方法について再検討を行う必要がある。救急時対応は医療や介護等のシステム側からの問題であり、住民の生活世界の問題には直接なりにくい。立脚点を住民の側に移して、現状の見守りをより包括的なものにしていくこと、より広範な住民に働きかけていくこと、専門職との連携を構築していくことが有効と考えられる。緊急時の見守りが、システム側の要望に応えるものにとどまるのではなく、予防的でポジティブな地域づくりにつながることが肝要となる。 4.イギリスにおける認知症者の見守りなどの検討:「認知症に対する行動計画2020」では、認知症に関する公衆の注目と理解の促進や、NHSスタッフが必要なトレーニングを受けること等を挙げている。認知症者の研究参加、結果の共有も挙げられている。これらは、日本への示唆となるであろう。
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備考 |
本研究の成果に、各地の福祉主導、保健医療主導それぞれの地域包括ケア、見守りネットワーク事例の紹介・分析などを加え、1冊の本として2019年中に出版予定である。
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