人口の高齢化の進展にともなう医療・介護費用の増大が見込まれるなか、医療保障システムにおける「予防」の比重を高めることが必要となっている。本研究では、フランスとドイツの取組みについて検討し、次のようなことを明らかにした。両国では、人々の健康維持や疾病の悪化防止に必要な「予防」と「治療」を継続的・一体的に提供するための制度的な枠組みが整備されつつある。比較考察を通じて、日本において予防重視型の医療保障システムを構築するためには、かかりつけ医(家庭医)の役割、恒常的な連携体制の構築、医療の質の向上を促す仕組み、および医療保険者の役割を検討することが重要であることが示唆された。
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