本研究は人口5万人以上の市区を対象に、障害福祉計画の地域移行率の政策目標値の相違をもたらす要因を調査した。その結果、障害者の地域移行政策は、障害のある住民や施設入所者数の割合などの人口的要因、民生費や障害福祉費などの経済的要因、行政機関での障害福祉専門職員配置などの職員能力などによっては大きく変動しておらず、制度的同型化も観察された。しかし、目標値が高い上位自治体は、市議会において地域移行に関する議論が活発に行われていた。先進自治体の事例検討も踏まえると、自治体福祉政策の進展に向けては、相談援助システムの構築と政治システムへの接続、アクター間の協議の場の運用が重要であることが示唆された。
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