研究課題/領域番号 |
15K03927
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
中川 薫 首都大学東京, 人文科学研究科(研究院), 教授 (00305426)
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研究分担者 |
山本 美智代 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 准教授 (00269515)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 震災 / 在宅障碍児者 / 被災体験 / 支援 |
研究実績の概要 |
本年度の実施計画は、障碍児者の中でも、身体障害をもつ障碍児者についての、被災状況、支援について、文献検索システムを用いて資料を収集し、質的分析を行い、これまでの知見を体系化することであった。しかし実際に検索をかけてみると、資料は身体障害児者に限定されておらず、障碍児者全体を扱っていることから、今年度は身体障碍、精神障碍、発達障碍、視覚障碍など、障碍を限定せずに文献検索と資料の収集を行った。現在、資料の分析を行っているところであるが、現在のところ、資料からは次のようなキーワードを抽出している。①避難行動の困難(障害の特性ゆえの移動の困難、命の綱となるケアの道具の運搬の困難、支援の確保の困難(近所に支援を頼める人がいない)、どこに避難したらよいかわからない)、②情報の確保の困難(障害の特性ゆえ、アクセスの難しい情報源がある)、③避難所生活の困難(周囲への気遣いゆえ避難所へ行くことを諦める、避難所に入っても自宅に戻る、ケアスタッフの不在、ケア道具がない)、④福祉避難所を知らない(情報不足、周知が徹底されていない)、⑤生きる意欲の喪失(どうにもならない現実)、⑥福祉避難所の指定の遅れ、⑦避難行動要支援者名簿の困難、⑧福祉避難所に指定された施設の介護人材の不足、⑨サービスのコーディネート、⑩物資のコーディネート、⑪支援の格差である。これらのキーワードの中に入る情報を整理し、キーワードの体系化を図っている。また、今後の分析でキーワードの修正、増減の可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初、大学図書館で新聞記事の検索を行おうと計画していたが、複写代の領収書が出ないということで、図書館での検索作業ができなくなり、他の手段を探すこととなった。その結果、新聞記事の検索の有料データベースが見つかったが、こちらに料金を払うとなるとアルバイトを雇うことが難しくなり、代表者が自ら検索、印刷、などの作業全体を行うことになり、研究全体の進捗が遅れてしまった。また今年度は身体障碍に限った検索を行う研究計画であったが、障碍の種類を限定せずに障碍全体を取り扱う資料が多いため、身体障碍だけの検索でなく、障碍全体を検索することとなった。このため、検索が大量になってしまい、進捗が遅れてしまった。
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今後の研究の推進方策 |
今年度はやり残しの検索作業と、質的分析を急ピッチで進めていく。特に、質的分析ソフトを有効に活用し、分析速度のアップを図る。そのためには、データの文書を質的分析ソフトに使えるようにする作業等が必要となるが、アルバイトを雇用して作業の効率化を図る。また、この研究の途中、熊本で大地震が起こり、新たなデータを収集する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
アルバイト雇用で遂行しようとしていた作業の一部(図書館での検索作業)が不可能となってしまったため、研究者が全ての作業をすることになり、作業全体の進捗が遅れてしまった。
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次年度使用額の使用計画 |
もう一度、アルバイトに任せられる作業を見直し、任せられるものと任せられずに研究者がやらなくてはならない部分を区分することで、作業のスピードアップを図る。其れと同時に、質的分析ソフトを導入し、少しでも分析の効率化を図る。
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