大震災において、障害児者の死亡率が健常者と比較して非常に高くなる事態の背景には何があるのか。それを探るために、障害児者の避難状況、困難、支援ニーズ、実際行われた支援、支援の課題などをについて、国立情報学研究所文献検索システムCinii Article、Cinii Booksを用いて「震災 障害者」「震災 福祉避難所」「震災 避難所」と検索キーワードを投入して文献検索を行い、抽出した資料のすべてを対象とした。そしてその中から、震災における障害者の課題に関連のある箇所をピックアップし、質的分析ソフトMAXQDAを用いて整理した。特に多かったのは、障害児者が避難所を使用できずに、倒壊した家屋に戻ったり、車中泊をしたり、親戚知人の家に身を寄せるという事態についてであり、地震の場所、時代に関わらず、同じエピソードが繰り返されていた。そこから、次のような問題を整理した。「障害者にとって一般の避難所」、ここではバリアだらけの環境、周囲との軋轢、また障害者地震の気兼ねの問題、情報入手の困難など、また障害別に困難を整理した。「障害者にとっての福祉避難所」、ここでは福祉避難所といっても障害者にとっては次のような課題があることを整理した。すなわち、①避難行動要支援者名簿、個別支援計画の策定と、その先の福祉避難所との関係づけ、②地域防災計画の中に福祉避難所を位置づけ、③福祉避難所の運営(マンパワー不足、備蓄の不足、建物の設備の未整備、個人情報の不足)であった。
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