研究課題/領域番号 |
15K03936
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研究機関 | 県立広島大学 |
研究代表者 |
細羽 竜也 県立広島大学, 保健福祉学部, 教授 (40336912)
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研究分担者 |
越智 あゆみ 県立広島大学, 保健福祉学部, 講師 (60445096)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | Treatment Gap / 精神保健 / 疾病性 / 事例性 / うつ病 / 統合失調症 |
研究実績の概要 |
平成27年度の研究事業において,”Treatment Gap”尺度の作成に向けて,(1) Vignettsの選定,および(2) 質問項目の選定を重要な課題であった.これらの課題を解決するために,平成27年度には,(1) 先行研究(平成23-24年度科学研究費補助金事業)のデータ分析の整理,および (2) 先行研究の情報取集を行った. (1) 先行研究のデータ分析:平成23-24年度に行った研究事業では,Vignettをいわゆる「軽症うつ病」の事例1つで検討した.データを再分析した結果,Vignettの事例に対して,調査協力者によっては,疾病性の症例というよりも,文脈性の症例として認識された可能性が示された.分析結果をふまえ,比較的,心因性を念頭に置きやすい「うつ病」の事例だけではなく,「統合失調症」など疾病性を強く意識しやすいVignettの選定も必要と考えた.質問項目については,「うつ病」事例によって収集した項目に加え,疾病性の強い「統合失調症」を加えて再検討する必要性がある. (2) 先行研究の情報収集:いわゆる「Treatment Gap」が生じやすい疾患には,アルコール依存症やギャンブル依存症など,依存症の問題もよく指摘されている.そこで平成27年度にはアルコール・薬物依存症関連学会に赴き,情報収集を行った.昨今は,依存症の啓発により状況が悪化する前に治療を受ける層の増加が指摘されていた.当事者は無論,その関係者にも医療機関による問題解決の重要性を周知することの意義を学んだ.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在,当初予定していた「軽症うつ病」の事例だけではなく,「統合失調症」など疾病性が強く意識されると思われる事例についても,主観反応のデータ収集を計画している.そのため,数量化を目的とした尺度の作成前に,「軽症うつ病」の事例について行った研究を「統合失調症」の事例についても検討する計画にしている.そのため,当初予定の尺度構成については平成28年度以降に実施する予定としている.
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度では,「統合失調症」に関する予備的調査を早急に進め,平成27年度に計画していた尺度構成を行う予定である.なお,数量化に際し,平成28年度に予定していた分析計画も併せて行う予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度に予定していた量的調査を,平成28年度に持ち越したため,当初計画していた調査資料・分析ソフト等が,平成28年度に使用する計画になった.そのため,平成28年度に経費が持ち越しになった.
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次年度使用額の使用計画 |
主として調査のためのデータ解析機材の購入が必要である.その他,調査用資料およびデータ保存用の記憶媒体およびファイルの購入を予定している.また,先駆的情報収集や研究発表のための国外・国内旅費・書籍代に活用予定である.
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