研究課題/領域番号 |
15K03939
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研究機関 | 高知県立大学 |
研究代表者 |
田中 きよむ 高知県立大学, 社会福祉学部, 教授 (00253328)
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研究分担者 |
水谷 利亮 下関市立大学, 経済学部, 教授 (00310897)
玉里 恵美子 高知大学, その他の研究科, 教授 (40268165)
霜田 博史 高知大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (50437703)
山村 靖彦 高知県立大学, 社会福祉学部, 准教授 (80455089)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 小さな拠点 / 集落活動センター / あったかふれあいセンター / 限界集落 / 中山間地域 / 共生型地域づくり / 固有価値 / 域学共生 |
研究実績の概要 |
高知県内の地域づくりに向けた「小さな拠点」として、「集落活動センター」を立ち上げる背景としての地域の生活課題、住民の主体的な変化、拠点を軸とする地域づくりの展開要因、学生との共生・協働の可能性を明らかにした。 センター立ち上げの背景となる地域課題としては、地元産業の衰退、人口流出、休校や廃園、若者の働く場の不足、買い物・移動手段の不足、鳥獣被害、伝統文化の継承問題、という集落機能や生活維持に関わる深刻な諸課題があり、それらに対する住民の強い危機感が見られる。その一方で、住んで良かった・住み続けたいと思える地域づくりに取り組もうとする住民の意向や愛着心に基づく住民の組織的活動が地道に続けられてきたことを土壌として、各地域単位の丹念なワークショップや聞き取りと、テーマ別の部会組織の形成・活用を通じて、住民の内発性と役割に対する主体性が引き出されている。 さらに、地域の切実なニーズに根ざし、地域固有の資源や文化を活用した取り組みが結果的に、その地域ならではの独自の価値を創出している。そして、学生も、都会とは異なる豊かな自然や活動、住民の温かい人柄、地域固有の生活や文化から発せられる魅力を感じ取りながら、地域資源の再発見・活用やイベント企画、情報発信、防災活動、健康増進、高齢者の見守り、世代間交流、地域文化の継承など、自分の専攻分野も生かしつつ役割を発揮できることを見出し実践していくことで、地域と学生・大学との共同活動の可能性が広がっている。また、そのような取り組みが、地域の中にいる住民にとっても、気づかなかった地域の固有価値の再発見につながり、若い世代からのエネルギー、刺激、ヒント、アイデアを含めて、地域再生の契機を提供することになる。学生が地域から学びを得るとともに、地域も学生から学びを得る互酬性の関係が、「域学共生」の取り組みを持続可能なものにすることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2015~2016年度予定の「高知県内外の『小さな拠点』を軸とする住民共生型地域づくりの形成要因の分析」のうち、高知県内の「集落活動センター」の主要ヶ所の調査は終えており、高知県内の「あったかふれあいセンター」、および、高知県外の先進的な地域づくりを進める地域拠点の補足調査を残している。
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今後の研究の推進方策 |
2015~2016年度予定の「高知県内外の『小さな拠点』を軸とする住民共生型地域づくりの形成要因の分析」のうち、高知県内の「集落活動センター」や「あったかふれあいセンター」、および、高知県外の先進的な地域づくりを進める地域拠点の補足調査を進めるとともに、それら全体の体系的な整理・総括を進めていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた調査対象地域への調査で遂行できなかった部分があるため。
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次年度使用額の使用計画 |
2015年度に果たせなかった地域調査を2016年度中に完遂することによって、2015年度分の未使用額を2016年度中に使用する予定である。
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