研究課題/領域番号 |
15K03942
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
木下 武徳 立教大学, コミュニティ福祉学部, 教授 (20382468)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | アメリカ / 審査請求 / 公的扶助 / ニューヨーク |
研究実績の概要 |
アメリカの法的支援団体の現地調査として、ロサンゼルスにて、①Legal Aid Foundation of Los Angelesで法的支援を行っている弁護士、②ロサンゼルスのWestern Center on Law & Povertyで法的支援を行っている弁護士と実際にカリフォルニア州政府で審査請求を審査している行政審判官(ALJ)、ニューヨークにて、③Manhattan Legal Servicesで政府給付部門の弁護士部長、④NY州審査請求事務所にて副部長、などに対してインタビュー調査をすることができた。 そのなかで、例えば、2016年にカリフォルニア州では約3万件の審査請求があったが、40%はカウンティが執行を修正をして解決し、25%はクライエントが辞退をする(カウンティの説明を聞いたり、カウンティが修正するということを聞いて辞退をするなど)。実際には、申請のうち35%をヒアリングする。ヒアリングではそのうち40%は請求人が勝っている。その背景には、プログラムは州政府による州法で定められているが、カウンティに運用がまかされており、カウンティでマニュアルが作られる。そのカウンティが法的な対応を間違った内容のマニュアルを作成してしまっていたこともあるということなどの実際的な審査請求の問題を聞き取りすることができた。 また、そのニューヨークでのインタビュー調査と、アメリカの法的支援の歴史的概要について、「アメリカにおける法的支援と公的扶助-法的支援法人とLegal Services NYC-」と題して、『立教大学コミュニティ福祉学部紀要』(2018年3月22日、pp.59-75)に論文としてまとめることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
個人的事情などのために研究計画どおりに進んでいない面がある。アメリカの研究は一定進んだが、スウェーデンの調査研究が言語の問題もあり文献に制約があり、うまく進んでいなかった。また、日本の審査請求の実態調査についても、法的支援をした弁護士や司法書士に対するインタビュー調査は実施したが、それを論文にするまでにまとまった作業ができていなかった。
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今後の研究の推進方策 |
個人的事情などのために研究計画どおりに進んでいない面がある。アメリカの研究は一定進んだが、スウェーデンの調査研究が言語の問題もあり文献に制約があり、うまく進んでいなかった。この点については、今年の夏にスウェーデンの現地を訪問し、資料収集と審査請求の事例を集める作業をしていきたい。また、スウェーデンは、オンブズマン制度でも有名な国であり、このオンブズマン制度が公的扶助利用者の苦情解決にどう影響しているかも合わせて調査研究をする必要が出てきたので、その面からも資料収集や現地調査を実施したいと考えている。 日本の生活保護の審査請求について、アンケート調査の整理をしたうえで、当初予定の北海道に加えて、現在勤務している埼玉県やその近辺にて調査を実施して補完的なデータを収集して分析をしていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた、スウェーデンの調査と、日本の生活保護での審査請求の調査が進んでいない部分があり、大きな差異をもたらすことになってしまった。先述のように、スウェーデンの現地調査は今年の夏に実施する予定である。また、日本の生活保護の調査も、勤務地移動後にアクセスのしやすい埼玉県等も調査対象として検討をしていき、実態を明らかにする調査研究をしていきたいと考えている。
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