研究課題/領域番号 |
15K03947
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研究機関 | 東北福祉大学 |
研究代表者 |
後藤 美恵子 東北福祉大学, 総合福祉学部, 准教授 (50347902)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ベトナム / 社会福祉 / 高齢者 / ソーシャルサポート / 社会的関係 / コミュニティ / 相互関係 / 社会保障 |
研究実績の概要 |
(1)高齢者福祉対策を射程とした課題を捉えるために、(a)ベトナム社会における高齢者の関連法、社会福祉政策及び高齢者支援に関する資料に基づき、高齢者福祉の現状と課題の分析を行った。また、(b)研究課題である「コミュニティ」の観点からはベトナムの伝統的社会構造を概観し、ドイモイ政策(1986)との関連から課題を分析した。これらの(a)(b)分析に基づき、(c)人口動態との関連から今後の高齢化社会の課題を抽出した。その結果を研究誌『社会福祉研究』に投稿した(2016年4月刊行)。
(2)社会的統合とコミュニティの相互関係について、加齢と健康に関する生活課題、共同体としてのコミュニティの課題を都市部と農村部の社会構造より要因を分析した。地域共同体認識としては、時代と共に地域との関係が減少しているが、共同体認識が高いこと、さらには高齢者の意見が尊重されていることへの認識は、都市部と比較して農村部が高いこと。社会的関係では、農村部では手段的支援が低く、都市部においては情緒的支援が低く、人口移動による地縁関係と罹患率が影響している。主観的幸福感では、農村部で心理的安定が都市部と比較して高く、また農村部、都市部共に楽天的思考が高いことが明らかになり、今後、ますます高齢化が進展することは統計的に予測される中で、人口移動を含めた地域における社会組織の再編としての地域共同体のシステムが示唆された。その結果を『日本老年社会科学会』『日本社会福祉学会』で研究発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
※研究実績の概要に基づく。 (1)高齢者福祉対策を射程とした課題を捉えるために、(a)ベトナム社会における高齢者の関連法、社会福祉政策及び高齢者支援に関する資料に基づき、高齢者福祉の現状と課題の分析を行った。また、(b)研究課題である「コミュニティ」の観点からはベトナムの伝統的社会構造を概観し、ドイモイ政策(1986)との関連から課題を分析した。これらの(a)(b)分析に基づき、(c)人口動態との関連から今度の高齢化社会の課題を抽出した。その結果を研究誌『社会福祉研究125号』に投稿した(2016年4月刊行)。
(2)社会的統合とコミュニティの相互関係について、加齢と健康に関する生活課題、共同体としてのコミュニティの課題を都市部と農村部の社会構造より要因を分析した。地域共同体認識としては、時代と共に地域との関係が減少しているが、共同体認識が高いこと、さらには高齢者の意見が尊重されていることへの認識は、都市部と比較して農村部が高いこと。社会的関係では、農村部では手段的支援が低く、都市部においては情緒的支援が低く、人口移動による地縁関係と罹患率が影響している。主観的幸福感では、農村部で心理的安定が都市部と比較して高く、また農村部、都市部共に楽天的思考が高いことが明らかになり、今後、ますます高齢化が進展することは統計的に予測される中で、人口移動を含めた地域における社会組織の再編としての地域共同体のシステムが示唆された。その結果を『日本老年社会科学会』『日本社会福祉学会』に研究発表した。
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今後の研究の推進方策 |
※研究内容を構造的に比較検証する為に、調査内容は過去の内容をベースとして用いる。 (1)加齢と健康に関する生活課題の要因分析:加齢効果についてのベースライン調査を実施。従属変数を主観的QOLとして、独立変数を基本属性、身体状況、心理状況、社会的特徴、生活習慣として分析。 (2)「都市部」、「農村部」の共同体としてのコミュニティの質問紙調査・参与観察法調査 を実施。測定尺度は地域の結束度尺度(Neighborhood Cohesion Instrument/NCI)とし、サポート効果を勾配的関係から捉える。サポート形態は情緒的支援、有形的・実質的支援の構造とする。 (3)「都市部」、「農村部」の社会的統合の測定を実施。測定尺度を期待された社会的統合尺度を用いる。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度は、ベトナム調査地域との日程調整が整わず、ベトナム渡航を見合わせたことである。
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次年度使用額の使用計画 |
(1)平成27年度に「物品費」として、購入予定であったSPSS、及びノートパソコンは、平成28年度に購入し研究成果を整理する。(2)旅費はベトナム渡航費と国内出張費などに充てる予定である。(3)「人件費・謝金」は、実証研究を実施するための調査実施に発生する謝金も含めて諸経費に使用する。(4)「その他」は郵便代、電話代および文房具代などの事務用品の購入を予定している。(5)突発的な費用に関しては、科研のルールに従って対応する。
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