研究課題/領域番号 |
15K03962
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研究機関 | 東日本国際大学 |
研究代表者 |
菊池 義昭 東日本国際大学, 福祉環境学部, 教授 (50258927)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 石井十次 / 岡山孤児院 / 東北三県凶作 / 茶臼原農場学校 / 大原孫三郎 / 殖民 / 養護実践 |
研究実績の概要 |
本年度の成果は、次のようになる。5月9日、10日に愛知県立大学での社会事業史学会第43回大会で研究報告を実施した。8月28日から9月6日まで、石井記念友愛社の石井十次資料館で資料調査を実施した。また、9月3日は北九州市で、翌4日からは岡山市で研究打ち合わせをし、6日は石井記念愛染園で調査を実施した。11月28日には、倉敷市で開催された第4回大原孫三郎・總一郎研究会で研究報告を実施した。 また、次のような研究論文等をまとめた。①「大正期の岡山孤児院の大原孫三郎理事の経営手法とその思想(1)-理事就任前の経営手法とその思想の内容分析を中心に-」『大原孫三郎・總一郎研究』創刊号、公益財団有隣会、2015年、29頁-51頁。②「大正期の岡山孤児院の大原孫三郎理事の経営手法とその思想(2)-理事就任前後の経営手法とその思想の内容分析を中心に-」『石井十次資料館研究紀要』第16号、社会福祉法人石井記念友愛社、2015年、47頁-81頁。③「岡山孤児院の茶臼原農場学校での4年目の教育実践の内容とその実績」『東北社会福祉史研究』第34号、東北社会福祉史研究連絡会、2016年、1頁-49頁。④「岡山孤児院の茶臼原農場学校卒業生の殖民としての独立と結婚への取り組み」『東日本国際大学福祉環境学部研究紀要』第12巻、2016年、1頁-17頁。⑤「岡山孤児院の茶臼原農場学校の開校と実習教育に関する資料」『中国四国社会福祉史研究』第14号、中国四国社会福祉史学会、2015年、41頁-57頁。⑥「岡山孤児院日誌(明治三十四年五月)」『石井十次資料館研究紀要』第16号、社会福祉法人石井記念友愛社、2015年、82頁-120頁。⑦「茶臼原農場学校で作成した『大正六年茶臼原農場學校實習要綱』について」『東北社会福祉史研究』第34号、東北社会福祉史研究連絡会、2016年、95頁-114頁。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
岡山孤児院の2つの災害での貧孤児収容活動のうち、東北三県凶作により収容された貧孤児への個別支援の実態を分析ている。彼らへの支援の特徴は、6年から20年以上にわたる長期支援であり、その長期支援の内容は、彼らを幼児期を含む学齢期から殖民となり結婚して家族を持つまでのライフステージの全ての段階を支援するという養護実践であったことを立証しつつある。また、この内容が立証できれば、災害支援史における岡山孤児院の歴史的役割と1つが解明できると考えている。 そして、現在は、「殖民となり結婚して家族を持つまで」の時期の養護実践の内容を解明している。その中心となるのが茶臼原農場学校での教育実践である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、東北三県凶作で収容された貧孤児を含む青年院児が、茶臼原農場学校でのどのような教育実践を通して、「殖民となり結婚して家族を持つまで」に到達したかを、具体的に裏付け、立証していくことにする。 特に、殖民となり結婚し、独立自活するまでの詳細なプログラムの具体化を、個々の青年院児への個別支援の実態分析からまとめていくことにする。 また、茶臼原農場学校での教育実践と、青年院児が「殖民となり結婚して家族を持つまで」の養護実践を担保したのは、大原孫三郎理事が存在したからであり、そのため、大原理事の岡山孤児院における経営実態を、さらに深く解明していくことが必要である。
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次年度使用額が生じた理由 |
直接経費700,000円は、ほぼ予定通り使用したが、24,000円程の残金が生じた。その理由は、本研究の後半での使用調整が不十分であったためである。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度の残金と次年度の直接経費を、計画的に使用し、研究の充実に活用したい。
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