研究課題/領域番号 |
15K03962
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研究機関 | 東日本国際大学 |
研究代表者 |
菊池 義昭 東日本国際大学, 健康福祉学部, 教授 (50258927)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 岡山孤児院 / 石井十次 / 東北三県凶作 / 茶臼原農場学校 / 大原孫三郎 / 殖民 / 養護実践 / 児童愛護デー |
研究実績の概要 |
本年度の研究実績は、次のようになる。5月13日、14日に長野大学で開催された社会事業史学会第45回大会に参加し、「岡山孤児院の茶臼原農場学校での7年目の教育実践と同校の廃止」というテーマで研究報告を実施した。8月24日から8月28日まで、石井記念友愛社の石井十次資料館で資料調査を実施した。10月21日、22日に首都大学東京で開催された日本社会福祉学会第65回秋季大会の参加し、「1923年の児童愛護デーの全国的な運動の実態」というテーマで研究報告を実施した。11月18日に日本女子大学で社会事業史学会主催の国際交流プレシンポジウムで、「日本の災害福祉の歴史とその役割に関する一提案」を報告した また、本年度は、次のような研究論文等をまとめた。①単著「岡山孤児院の茶臼原農場学校での六年目の教育実践と卒業生の殖民への移行」『石井十次資料館研究紀要』第18号、2017年8月、4頁から69頁。②共著「石井記念友愛社の事業展開と地域におけるネットワーク形成-児嶋草次郎理事長へのインタビューから-」『石井十次資料館研究紀要』第18号、210頁から234頁。③単著「1923年の児童愛護デーの全国的な運動の展開」『東北社会福祉史研究』第36号、2018年3月、1頁から59頁。④共著「岡山孤児院音楽幻燈隊の弘前市での慈善音楽幻燈会の活動実態」『東北社会福祉史研究』第36号、60頁から74頁。⑤『国際交流プレシンポジウム 東アジア諸国における災害福祉の歴史』「日本の災害福祉の歴史とその役割に関する一提案」23頁から33頁、2017年11月18日。⑥「1923年の大阪市でのコドモ博覧会とこども愛護デーの活動実態」『東日本国際大学研究紀要』第23巻第1号、2018年3月、229頁から265頁。⑦「岡山孤児院日誌(明治三十四年六月から七月)」『石井十次資料館研究紀要』第18号、108頁から156頁。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、研究計画の中の「茶臼原農村づくりや農場学校での、東北児などの青年院児への養護実践の解明」では、6年目の茶臼原農場学校での教育実践と同校生や殖民として独立に取り組み者の、個人別の活動などを解明し、茶臼原農村づくりの今日との関係についての証言もまとめた。また、濃尾大震災と東北三県凶作での岡山孤児院等の救済活動の役割と歴史的意義を考察し、その救済活動が近代の中国や朝鮮での災害救済と比較する研究に参加し報告した。さらに、「震災孤児収容後の岡山孤児院の養護実践の動向の解明」の一環として、同院の財源確保と青年院児の養護実践を兼ねた音楽幻燈隊の活動に関する論文をまとめ、かつ明治34年の岡山孤児院日誌を翻刻し、当時の養護実践研究のための基礎資料を整備した。 そして、新たな研究課題として、大阪市での岡山孤児院(石井記念愛染園)の実践の延長上に、同市などで発生した児童愛護デーの運動が存在することが理解でき、同院の実践を日本における子どもの権利形成のルーツと位置付ける研究的な試みを実施した。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は、本年度の研究成果を踏まえ、「茶臼原農村づくりや農場学校での、東北児などの青年院児への養護実践の解明」においては、7年目の茶臼原農場学校の教育実践と同校が廃止に向かう過程およびその時期の同校生や殖民として独立に取り組み者の個人別の活動などを解明し、その後の茶臼原農村づくりの展開を明らかにし、「岡山孤児院解散前後の動向と殖民として独立した東北児を含む殖民家族の解明」に近づいていきたい。 また、「震災孤児収容後の岡山孤児院の養護実践の動向の解明」については、明治30年代の岡山孤児院日誌の翻刻を通して基礎資料を整備し、同院音楽幻燈隊の活動の分析なども実施し、「震災孤児への養護実践と自立支援、および退院後の動向の解明」に向けての研究的な条件を整備したい。 さらに、新たな研究課題として、岡山孤児院の実践の延長上に児童愛護デーの運動を位置づけ、同院の実践を日本における子どもの権利形成のルーツと証明できる研究的な試みも実施したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度の直接経費を、旅費や印刷費などとして計画的の使用してきましたが、21,209円の残金が出ました。
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