わが国の社会的養護システムの形成に重要な役割を果たした貧孤児救済施設の里親委託について、その実態の解明を試みた。主要な事例としての福田会育児院を中心にその他の施設との比較検討により、総合的な分析を実施することができた。昭和戦前期までの貧孤児救済施設による里親委託は、救護法をはじめとした公費の充当によって安定化したこと、福田会育児院は委託コーディネートの技術を向上させる意欲的なものであったことが確認できた。里親委託を必要とした地域とその理由を明らかにするためには、さらに全国的な調査を行う必要があることが明確になった。
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