研究課題/領域番号 |
15K03964
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
門 美由紀 東洋大学, 社会学部, 助教 (40732780)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 多文化ソーシャルワーク / 外国人住民 / 生活支援 / 多文化対応力 / 研修プログラム / モントリオール |
研究実績の概要 |
昨年度に続き、諸外国での先進的取り組みに関する調査として、8月にカナダのケベック州モントリオールでインタビュー調査及び資料収集、移民集住地域のフィールドワーク(トロントでも実施)を行った。ケベック州で移民支援に関わるソーシャルワーカーを中心に、居住支援、定着支援、医療、ドメスティック・バイオレンス被害母子保護等の機関でインタビューを実施し、当事者のエンパワメントのプロセスやそれを支える仕組み、地域の状況等について多面的かつ掘り下げて聞くことができた。また、研究者数名から、モントリオールでの移民支援の歴史的展開と基盤となっている価値、基盤についての話を伺った。帰国後に資料整理等を行い、インタビュー調査の分析に向けて準備を行った。 日本の関係機関・支援者へのインタビュー調査についても対象者を追加し実施した。また、神奈川県で複数年度にわたり実施されてきた多文化ソーシャルワーク講座を企画・実施してきた検討委員とともに、これまでの講座企画・実施の振り返りを行い、地域特性に応じた多文化ソーシャルワークの枠組みを先行文献を参照し検討を行い、次年度に取り組むべき課題の明確化を行った。 日本の多文化ソーシャルワーク、多文化対応力についての先行文献研究も引き続き行い、理論・知識・技術、支援事例、支援体制等について整理を行い、最終年度の分析に向け準備を進めた。また、カナダの関連文献研究を通して、多文化ソーシャルワークを支える価値や理念、歴史的変遷及び影響を与えている出来事等について整理を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コーディネート及び通訳者の尽力により、今年度も海外調査において関係各機関・支援者及び研究者へのインタビューが実現した。その際、昨年度の調査を踏まえ、多文化ソーシャルワーク及び地域を基盤とした生活支援に携わる調査対象先を選定し、インタビュー項目等の検討を行って実施することができた。 また新たに1名、神奈川県で多文化ソーシャルワークを実践する者へのインタビュー調査を実施できたことにより、地域特性を踏まえた支援の現状と課題、ソーシャルワークを体系的に学んできていない者による多文化ソーシャルワーク的実践の観点から、比較分析を行う展望が拓けた。 ただし、当初予定よりインタビュー調査の分析及び海外調査のデータ整理等が遅れており、学会発表、学会誌投稿には至らなかったことが課題である。 これまでの調査研究を基に分析を行い、適宜追加調査、インタビュー等を実施することを通して、論文執筆、報告書作成等を行うという課題が残っている。
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今後の研究の推進方策 |
日本及び諸外国の多文化ソーシャルワーク、多文化対応力についての先行文献研究を整理し、これまで実施してきた調査研究の分析を行うにあたっての枠組みを検討する。 これまで実施した多文化ソーシャルワーク実践者へのインタビューの分析を行い、外国人住民への生活支援におけるその成果と課題を明らかにし、地域ごとの固有性及び普遍性について検討を行い、モデル化を行う。中でもアクションリサーチ的にかかわってきた神奈川県及び埼玉県での取り組みに対しては、それらの事業の位置についての分析も実施し、地域を基盤としたプロブラム及び支援体制について考察する。 2度にわたり実施したカナダのケベック州モントリオールの調査については、政策・制度・援助及び多文化ソーシャルワークに関わる理論的研究の展開について整理分析を行い、その特徴を明らかにするとともに、日本の実践及び理論構築に向け参照できるようにまとめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度予定していた2017年度、2018年度のモントリオール調査のインタビューのテープ起こし(フランス語および日本語翻訳)が先方の事情により実施されていないこと、日本での多文化ソーシャルワーク実践者への追加インタビューを実施予定であったが、インタビュー日程確保が困難であったことから平成30年度実施に延期したこと等による。 以上については平成30年度に実施予定であり、その際に予算を使用する。
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