研究課題/領域番号 |
15K03967
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研究機関 | 日本女子大学 |
研究代表者 |
増田 幸弘 日本女子大学, 人間社会学部, 教授 (40264171)
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研究分担者 |
圷 洋一 日本女子大学, 人間社会学部, 准教授 (50331054)
黒岩 亮子 日本女子大学, 人間社会学部, 准教授 (60350188)
村岡 真知子 (神尾真知子) 日本大学, 法学部, 教授 (80219881)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 世代間交流 / 多世代交流 / 高齢者 / 若者 |
研究実績の概要 |
研究2年目となる平成28年度も、当初の研究計画に従って研究を実施した。研究組織のメンバーで行う研究会を3回、外部識者との情報交換を1回、現地調査を3回実施した。年4回の研究会の実施を予定していたが報告者の傷病により第4回の研究会は中止し、それに代えてメンバー相互間で情報交換を行った。 研究会では前年度から引き続き、国内外の多世代交流事業に関する各種資料の分析と、多世代交流の背景事情や福祉理論との関係についての検討を行った。研究会での議論を踏まえて当初の研究計画を一部変更し、韓国を調査研究の対象とした。 海外の現地調査では、圷、神尾、増田がソウルとソウル近郊の施設(総合福祉館、シルバー文化センター)を訪問し多世代交流事業の実際について聞き取りを行った。また、韓国の研究機関(韓国女性政策研究院、世代間研究所)のスタッフと研究交流を行った。国内の現地調査では、黒岩が金沢市の善隣館を再訪するとともに、川崎市のりぷりんと・かわさきの活動の見学と聞き取りを行った。 平成28年度は、多世代交流事業それ自体を主題とする学術論文の公刊や学会報告には至らなかったものの、得られた知見の情報発信として黒岩が公開講座「超高齢社会を生きるヒント」(かわさき市民アカデミー)を企画・実施した。世代を主題とする全8回にわたる講義では、黒岩とともに増田が多世代交流に関する講義を行った。 また圷は、研究会において世代とのかかわりで議論された福祉理論に関して学術論文とNHKのラジオ講座テキストを公刊するとともに(圷洋一「福祉国家の目標をめぐる今日的議論」季刊社会保障研究51巻3=4号、2016年、同「社会福祉とシティズンシップ」『NHKテキスト 社会福祉セミナー2016年4月~7月』NHK出版、2016年所収)、学会報告を行った(同「時間的シティズンシップ試論」日本社会福祉学会関東部会、2017年3月11日)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記に示した平成28年度の研究実績に鑑みると、現在までの進捗状況については、当初の研究計画で提示したところに従っておおむね順調に進展しているものと言うことができる。 今年度の研究の特記事項として、韓国の多世代交流事業を研究対象に含めることとした点をあげることができる。韓国における多世代交流の支援事業については、当初の研究計画では調査・研究の対象としていなかった。しかし、研究会における討議の過程において、東アジアにおける家族主義と世代間の関係の問題に議論が及んだことから、当初の計画を一部変更し、韓国の多世代交流事業を研究対象に含めることとした。これにより、新たな視点を得ることができた。 ただし、情報発信について論文の公刊やシンポジウムの開催等が平成29年度の実施となったため、当初の計画以上に進展しているとまでは言えない。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の最終年度となる平成29年度も、平成28年度と同様、基本的に当初の研究計画に従って、研究組織のメンバー相互間で緊密に連携をとりつつ研究を推進していく方針である。ただし、必要に応じて当初の研究計画を適宜修正しながら研究を遂行するよう努める。 平成29年度も引き続き、関連資料の収集を継続する。また、現地調査を行って世代間交流事業の現状と背景事情を確認する。これらの作業から得られた情報については、研究会を開催して検討を行う。また、関係者や外部識者との情報交換の機会を設ける。 加えて、本研究に関する情報発信として、学術論文等の公刊、テキスト等の記述への反映、各学会・研究会等での報告、シンポジウムの開催等を行うものとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外の現地調査の渡航先を韓国に変更したこと、および、当該調査に赴く人数を3人としたことにより次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
現地調査のための海外渡航の費用、および情報発信のためのシンポジウム開催の費用等に使用する計画である。
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