研究課題/領域番号 |
15K03969
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
柳沢 敏勝 明治大学, 商学部, 教授 (30139456)
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研究分担者 |
小関 隆志 明治大学, 経営学部, 准教授 (20339568)
中川 雄一郎 明治大学, 政治経済学部, 教授 (30097191)
久保 隆光 明治大学, 商学部, 助教 (70720671)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 社会的連帯経済 / 社会的経済 / 社会的企業 / 社会的協同組合 / 社会的排除 / 協同組合 / サードセクター / 2030アジェンダ |
研究実績の概要 |
(1) 韓国での調査研究・・・2015年9月16日から9月18日にかけて韓国でのヒアリング調査を実施した。その成果は、小冊子『韓国社会的経済調査報告』にまとめ、公表している。本研究の目的を達成する前提として、今回の訪韓調査は、社会的連帯経済に関する基本的情報の整理を課題とした。そのため、第1に、韓国社会的企業振興院を訪問し、社会的企業振興院が成立する過程やその役割、および今日の社会的企業の実態について基本的な情報を得ることとした。次いで、これまでの情報確認の下で、社会的企業をはじめとする社会的連帯経済について最も詳しいであろう研究者たちから専門的知識を得ることを課題とした。訪問しインタヴューを実施したのは、次の方々である。JaeHyun Kim(金才賢)教授(建国大学 College of Life & Environmental Sciences)。Jong Gul Kim(金鐘杰)教授(漢陽大学国際学大学院)。Jang Seungkwon(張承權)教授(聖公会大学大学院協同組合経営学科)。 (2) 日韓研究シンポジウムの開催・・・日韓比較研究の深化を求めて、韓国聖公会大学大学院協同組合経営学科Jang Seungkwon(張承權)教授を招き、平成28年1月11日、12日の両日にわたって、明治大学を会場として、日韓の社会的連帯経済組織に関するワークショップならびにシンポジウムを開催した。両日とも公開の研究会とした。 (3) 日本における社会的連帯経済組織に関する調査研究ならびに文献研究は各自により実行され、必要に応じて学会報告がなされた。 (4) その他・・・韓国の研究成果を吸収するために、日本語に翻訳されていない基本的な文献についての翻訳を行った。①ハン・サンジン『社会的排除論と韓国の社会的経済組織』。②キム・ウィヨン、イム・ギホン『韓国の社会的経済組織の見取り図』
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究が直接の目的としているのは、市民の協働による社会問題解決に向け機能する社会的連帯経済に関する日韓の比較研究である。この研究目的を達成するために、複数年にわたって実態調査を実施する。韓国在住の研究者の協力を得ながら、日韓両国における社会的連帯経済の実態調査に取り組む。とくに、韓国・聖公会大学付置生協研究所との連携をはかり、韓国での社会的連帯経済に関する実態調査を実施する。具体的な調査対象は、社会的排除が典型的に現れている領域(貧困層、障がい者、失業中の若年者、高齢者等)での両国の市民が連帯する取り組みである。この目的を達成するために、研究分担者の専門領域を前提とした調査研究を実施し、それぞれの研究成果の統合化を図ることとしている。 これらの研究目的を達成するために、本年度は、韓国における社会的連帯経済の実情に関する基本情報の確認と共有化の作業を実施した。具体的には、韓国の主要な推進機関ならびに研究者からのヒアリングと基本文献の確認である。前者については2015年9月の訪問調査を通してヒアリングを実施し、大きな成果があった(『韓国社会的経済調査報告』)。後者についても未翻訳の著書の翻訳を通じて基本情報の共有化が図られた。 他方、上記のように、韓国聖公会大学大学院協同組合経営学科Jang Seungkwon(張承權)教授を招き、韓国の社会的連帯経済の実情に関する公開のシンポジウムを開催した。 また、日本国内の社会的連帯経済組織に関する文献研究ならびに実態調査は、研究代表者および研究分担者個々により実施され、必要に応じて、学会等で研究報告がなされている。
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今後の研究の推進方策 |
(1)第2年目の調査対象は日韓双方の社会的連帯経済組織であり、個々の組織の構造と機能について実態調査を実施する。主な対象となるのは、日韓双方の社会的企業、社会的協同組合、自活事業団、マウル共同体企業等である。なお、日本では、これらの組織を法人化する法律がないため、社会的企業や社会的協同組合とみなしうる事業組織を対象とする。また、韓国での調査活動には、聖公会大学等の研究スタッフの協力を得ていくものとする。 (2)継続的に研究会を開催し、個人もしくは研究チームによる調査結果に関する討議を深める。2年度目の検討課題は、日韓双方のインフラストラクチュア組織の違い、行政との関係の違いについてである。この作業については、行政学等に詳しい研究協力者の助力を仰ぐとこととする。 (3)社会的連帯経済に関する文献研究を進める。とくに、2013年に国連に設置された社会的連帯経済タスクフォースでの議論、および2015年国連総会で採択された2030アジェンダに関する議論に関わる文献の収集を図り、今後、社会的連帯経済が果たす役割に関する議論の世界的な動向について把握し考察する。 (4)社会政策学会、協同組合学会等において、本研究チームが組織するセッション等を設定して研究成果の公表に努める。
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