本研究では地域在住高齢者における、他者との交流が少ない傾向にある社会的孤立者の把握と、支援構築を検証するものであった。 初回調査(2015/平成27年)は、平成26年度川崎市が実施した65歳以上の要介護・要支援者を除いた高齢者への基本チェックリスト(「暮らしの元気度チェック」)調査に回答した人の中で、麻生区内の8つのエリアから抽出された3417人であった。返送は1918人で回収率56.1%だった。社会的孤立(得点で11点以下の者)に該当したのは452人(23.6%)だった。 2016(平成28)年度は追跡調査に協力するとして、住所を明示した他者との交流の少ない傾向にある社会的孤立者402人のうち、支援プログラムの案内を郵送して参加した者へ「こころの健康講座」を4回実施した。 2017(平成29)年度の追跡調査は、10月に郵送留め置き法で初回調査票返送時に2年後の調査に協力すると回答した者1755人に質問紙調査を実施した。追跡調査票の回収後、調査票の回答状況のチェック作業を行い、データ入力を外部に依頼して実施した。結果は1192人からの回答(回収率67.5%)が得られ、この間に新規に要介護認定を受けた者が49人(2.8%)存在した。回答者の平均年齢77.2歳(年齢幅:63~96歳)で、男性574人(48.1%)、女性582人(48.8%)、社会的孤立者(得点で11点以下の者)は230人(19.3%)だった。
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