研究課題/領域番号 |
15K03974
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研究機関 | 中部学院大学 |
研究代表者 |
谷口 真由美 中部学院大学, 人間福祉学部, 准教授 (90413301)
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研究分担者 |
稲垣 貴彦 中部学院大学短期大学部, 社会福祉学科, 准教授 (50320974)
佐藤 八千子 岐阜経済大学, 経済学部, 教授 (90342055)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ,権利擁護 / サービスの質 / 評価基準の理解 / 連携 / 協働 / 主体的な変革 / 第三者評価事業の効果 |
研究実績の概要 |
第三者評価事業が効果的に機能するために、評価する評価機関と評価される受審施設の両者に「評価基準」の共通理解と協働が必要と考えた。本研究は、この協働の在り方を検証し、サービスの質の評価が社会福祉施設に根づくシステムを構築し、より良いサービスを受ける国民の権利の実現を目的としている。 平成27年度の研究計画は、①事業が低迷しつつも義務化となった社会的養護施設から他分野の受審率を増加させつつあるA県において、評価機関・受審施設の協働の方法を検証するため包括的調査項目を作成し、実態調査を実施する。②先進地域(国内で唯一体制の整っている東京・ケア法が実施されているイギリス)の資料・文献収集と整理、翻訳であった。この計画の下、毎月1回「ぎふ第三者評価研究会」を開催し、「わが国における社会的養護施設の現状と課題」、「支援者として関わることとは」、「イギリスにおけるケアの質と第三者評価の内容」等のテーマでゲスト講師を招きながら研究チームの共通理解を深めた。さらにA県内の社会的養護施設(17施設)と評価機関(5機関)の第三者評価事業への取り組みと、乖離を明らかにすべく双方の職員へ悉皆調査を実施した。調査時期は2015年12月。調査の依頼後、調査票を郵送し回答の後、施設機関の担当者が集約して大学に返送した。本研究では、所属研究機関である中部学院大学の倫理審査委員会の承認の下、調査を行った。 この調査から評価機関と受審施設の内包する課題を総合的に分析し、各課題の相互関係を明らかにし、評価機関と受審施設の双方が評価基準の共通理解を図るための協働の方法を検証した。現在も継続中である。 本研究から評価機関と受審施設の乖離を残した第三者評価となっていることが明らかになり、評価基準の共通理解不足が第三者評価事業の停滞とサービスの質の向上の双方を停滞させる要因となっていることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度の研究計画は、①評価機関・受審施設の包括的調査項目を作成し、A県における評価機関・受審施設の実態調査の実施。その後、調査結果を報告する予定であった。この計画の下、実態調査を実施し、A県福祉サービス第三者評価事業調査員養成研修等で調査結果の一部を発表し、第三者評価事業の関係者間で共有、事業の取組へ提案した。さらに福祉サービス第三者評価調査者全国研究大会2016.1.20大阪においても提案した。しかし、調査の実施期間が当初9月~10月の予定であったが、受審施設の一部から、全社協等における第三者評価事業の実施状況の調査と重なり負担であるとの声があがったため調査の実施時期を遅らせ、12月の実施となった。その間に本研究における調査項目の検討や精査には充分費やせたが、その後の研究の進捗にも反映して分析が遅れた。現在は単純集計の分析は終わっているが全ての分析は平成28年度に持ち越した状況である。 ②先進地域(東京・イギリス)資料・文献収集と整理、翻訳の計画は、資料・文献の整理、内容の理解については定例研究会にて取り組んできたが、調査報告書の翻訳はまだ進められていない。さらに国内調査の東京福祉経営ネットワークにおける訪問調査の同行と研修参加の具体的期間と、国外調査のイギリスの調査についてのコーディネートが検討途中である。
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今後の研究の推進方策 |
評価機関・受審施設の調査結果の全体を6月末までにとりまとめ、社会福祉学会第64回秋季大会にて発表予定(「第三者評価事業が社会福祉施設に根づくためのシステム構築についての考察-A県社会的養護施設の第三者評価事業の実態調査-」でエントリー済み)。さらに人間福祉学会2016.11.19~20岐阜大学において発表予定。(「イギリスにおける福祉サービス第三者評価の現状と課題」) 平成28年度の研究計画は①評価機関・受審施設の評価基準の共通理解に向け協働の方法を検証するために、合同セミナーを開催する。②国内(東京)・国外(イギリス)先進事例の調査を実施するため、東京福祉経営ネットワークへ第三者評価へ同行・研修に参加。イギリス調査に関してはコーディネーターの伊勢田堯氏(元東京都立多摩総合精神保健センター所長)と協議のうえ調査内容を決定、実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
①評価機関(5機関)・受審施設(17施設)の双方の調査員・職員への調査依頼段階からコミュニケーションを図り、調査の趣旨等を十分理解してもらえたため全般に現場の協力を得られた。調査票を一括して郵送し、回答後、封をしたアンケート用紙は施設機関の担当者が集約して大学に返送する方法を行うなどの協力を得られた結果、切手代および、調査にかかわる人件費・謝礼が節約できた。その際、個人情報の保護、調査に回答した事による個人への不利益が生じない様十分に配慮している。 ②図書は研究代表者が購入・借りる等して研究チームで共有した。 ③次年度のイギリス調査に配慮・意識した。
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次年度使用額の使用計画 |
イギリス調査(乳児院・児童養護施設・子ども福祉行政・相談援助機関)の旅費への使用を計画している。
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