研究課題/領域番号 |
15K03978
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研究機関 | 日本福祉大学 |
研究代表者 |
渡辺 崇史 日本福祉大学, 健康科学部, 教授 (30410765)
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研究分担者 |
畠山 卓朗 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (50351200)
巖淵 守 東京大学, 先端科学技術研究センター, 准教授 (80335710)
上田 喜敏 森ノ宮医療大学, 保健医療学部, 教授 (80454677)
宮田 美和子 日本福祉大学, 健康科学部, 助教 (90515602)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 支援技術サービス / アシスティブテクノロジー / 経験情報 / 相談システム / 地域支援 |
研究実績の概要 |
1.個別対応事例の調査 日常生活で利用される自助具類やICT機器操作用入力デバイス・スイッチ等のような,利用者自身が何らかの活動を行う際に必要とする支援機器の“製作・改造”による個別対応事例を対象として実施した.今年度は,研究代表者・分担者および協力施設における相談対応事例(約50事例)より,典型的な3相談事例を抽出して試行的な検討を行った.3事例とも障害名等は異なるが,肢体不自由のある利用者である.事例1はスプーン持ち柄の検討(用具分類:自助具,対象:特別支援学校に通う生徒),事例2はスマートフォン操作用の機械式スイッチ把持部形状の検討(用具分類:入力デバイス,対象:地域での在宅生活者),事例3はタブレット操作用の非接触式センサースイッチ固定部形状の検討(用具分類:入力デバイス,対象:地域での在宅生活児)である. 2.経験情報の分析と抽出 抽出した個別対応事例に対して,実際に3DCADソフト利用によるモデリングあるいは,3Dスキャナーを利用したモデリング作業を行った後,3Dプリンターを用いて試作するといった,作業手順について検討をした.特に3Dスキャナーによるモデリングについては,企業や各種団体との連携方法を検討するために,業務用3Dスキャニング委託サービスと低価格なデスクトップ型デジタイザでの3Dスキャンデータとの比較を行い,実用性等について検討した. 以上のような実践的研究を通して,支援機器の相談支援場面での3Dプリンターおよび関連技術を利用したときの有用性について検討した結果,その利用方法は「展開と予備」,「更新と繰り返し」,「転用」という3分類に整理することができた.これらの詳細については,論文1件(査読有),国内外学会発表2件としてまとめることができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
3DCADや3Dスキャナーを利用したモデリング作業(開発環境整備を含む)および,プロトタイプの試作に時間を要したことにより,当初予定していた数の事例検討ができなかったため.
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今後の研究の推進方策 |
継続して収集している個別対応事例は,支援機器相談に関わる多職種の支援者の協力を得て検討する.特に支援プロセス情報(どのような関わりや援助過程を経て最終的な支援機器の導入に至ったか)と,適合情報(支援機器の装着・設置方法等に関する技術的なノウハウ)および製作改造情報(相談の結果として,実際に提供された“製作・改造”支援機器の形状・寸法)に分けて整理する.支援プロセス情報や適合情報は,テキストマイニングの手法等を用いて分析し,支援機器相談の課題や独自性を明らかにする.製作改造情報は,3Dプリンター用データとして変換した後,実際に試作を繰り返し,データ収集方法・再現性・モデル化手法等について検討する. さらに,支援プロセス情報,適合情報,製作改造情報を経験情報として集約できるシステム構築を検討する.具体的には,集約した経験情報をセキュリティ管理されたWebサーバー上に置き,共有・相互利用を前提としたクラウドコンピューティングシステムの枠組みの構築に取り組む.
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