研究実績の概要 |
福祉の根源としての価値意識、社会福祉哲学と宗教性の関連に焦点をあてて研究を行った。その際、宗教性をいわゆる宗教の組織やその教義ではなく、その未だそれが組織化されていない霊性としてのスピリチュアリティであると定義した。 その上で、それを理性言語である福祉哲学との枠組みにおいて具体的に検証を試みたが、いまだこの点では十分な実績は果たせていない。研究対象は、社会福祉哲学の枠組みとスピリチュアリティの関連を理論的に検証したが、社会福祉事業家の宗教性を歴史的に分析していくことを試みた。その教派性や宗教意識(スピリチュアリティ)について思想史的に分析するものである。この点では、私自身が代表を務める同志社大学人文科学研究所キリスト教社会問題研究班の研究の成果とも共同できた。すなわち、賀川豊彦、山室軍平などの社会事業家の研究をすすめることができた。本研究ではその宗教性と実践の関係を軸にデータ範囲を広げ、山室軍平の救世軍の思想、George Mullerのブラザレン思想についても議論できた。 資料収集、探索としては、上記研究題目にかかわる文献調査、国際的な社会福祉哲学の概念の文献調査、文献収集における資料収集の整理、文献レヴューを中心に行った。鳴門市賀川豊彦資料館、キリスト教系社会福祉法人カナンの園等を訪問調査し、原資料日誌、書簡などの宗教、スピリチュアリティにかんする収集調査なども合わせて行った。 海外の国際学会Social Work, Education and Social Development(SWSD,2016) で、本研究の成果の一部を以下のように報告することができた。“Japanese Christian Social Welfare: past, Present, and Future”
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