平成29年度は連携研究者(小関隆志・明治大学経営学部准教授、上原優子・立命館アジア太平洋大学国際経営学部准教授、角崎洋平・日本福祉大学准教授)らと共に、国内外のフードバンク団体および社会福祉協議会等への訪問と資料収集およびヒアリング調査を実施した。 海外調査では、韓国のフードバンクを再訪し、基礎フードバンクにおける社会福祉士の役割についてヒアリング調査を行った。基礎フードバンクにおいて社会福祉士が利用者の相談対応や、利用希望者を区役所につなぐ等の役割を果たしていることが確認できた。なお、韓国では昨年以降の傾向として、フードバンクでは利用者の食料選択の幅が少ないことから、フードバンクにフードマーケットを併設して利用者自らが食品、日用品や衣料品を選択する流れにある。一方で、フードバンクから食料等を受け取るのは在宅の高齢者や障がい者世帯等の外出困難世帯で、フードバンク職員が食料等を配送している。 国内調査ではフードバンク活動を実施している社会福祉協議会の調査を中心に行った。具体的には、島根県社会福祉協議会、松江市社会福祉協議会および沖縄市社会福祉協議会によるフードバンク活動を視察し、ヒアリング調査を実施した。生活困窮者自立支援法施行以後、社会福祉協議会によるフードバンク活動は全国的に拡大して行く傾向にある。島根県社会福祉協議会は、県内の市町村社会福祉協議会にフードバンク活動を広めるための情報発信等のプラットホームの役割を果たしており、松江市社会福祉協議会においてもフードバンク活動が行われていることが確認できた。沖縄市社会福祉協議会では、市民による食料寄贈が盛んに行われており、食料は生活困窮者だけでなく、「子どもの居場所」事業を行っている子ども食堂等に食料の寄贈をしており、フードバンク活動が包括的な社会福祉支援の内に位置付くことが有効であることが確認できた。
|