研究課題/領域番号 |
15K03998
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研究機関 | 大阪人間科学大学 |
研究代表者 |
時本 ゆかり 大阪人間科学大学, 人間科学部, 准教授 (50581055)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 定住 / 移住 / 島嶼地域 / 離島 / 介護 / 高齢者 |
研究実績の概要 |
介護を受ける状況になっても島内で暮らしていくためには介護を支える人材確保が重要である。Uターン者やIターン者が島に根付き、集落の次世代を担うものとして定住することが望まれる。 八重山郡竹富町の住民に実施したアンケート調査を地元住民、Iターン者、結婚の3種の居住経緯別に分析した結果、Iターン者が高齢期になっても安心して暮らしていくための要件について一定の示唆を得た。Iターン者の居住継続の意思について7割の定住意向が確認された。一方、結婚で島に来た者はそれに比較して定住意向が優位に低かった。また、高齢期に地域で住み続けるために大切なことについて、Iターン者は他の者より最も経済面で優位に高く、地元で生まれ育った住民よりも災害物資確保が優位に高かった。したがって、結婚で来た者は何らかの暮らしにくさを抱えていることが示唆される。 また、Iターン者は、高齢期の暮らしにおいて経済面を重視し、台風など襲来の多い島での暮らしについて災害時の物資の確保を重視していることがわかった。 次に、単身高齢者の暮らしを支える福祉基盤についてケアマネジャーへのインタビュー調査から業務を分析した。対象地域は先島地域の離島である。ケアマネジャーの業務からみた課題は通院送迎や医療従事者からの情報伝達について業務以外の対応に戸惑いながら対応していた。これは、地縁血縁関係が強く互助機能が活発な当該地域特有の課題でもあった。また、後見人制度の活用と島内の人材確保の課題もみられた。したがって、介護保険サービスが公共性、公平性を確保するための体制整備が必要であることが示された。さらには、インバウンドや離島ブームにより要介護高齢者は物価高騰の影響を強く受けており、金銭的に余裕のない制度の狭間の人たちへの支援課題も示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成30年度に実施した住民へのアンケート調査において、回収率の低さがみられた。それを補うため研究計画を修正変更して進めている。追加した分析と追加調査の調整に時間がかかっている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、1年の延長が認められた。よって、アンケート調査をさらに分析を進めて地域別、島別の高齢期における定住要件について検討していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
現地調査に行く回数及び研究協力者人数が予定より下回ったため。
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