研究課題/領域番号 |
15K04000
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
高井 由起子 関西学院大学, 教育学部, 准教授 (50351771)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ドメスティックバイオレンス / デートDV |
研究実績の概要 |
従来のDV加害者の調査、研究について、例えばDV加害者プログラムに関して、概観したものや、筆者らによる実践を通してのプログラムに対する検討や考察は複数見られる。しかしながら、プログラムに参加している当事者の意識や、プログラムを通しての変化のありよう等について調査、研究したものは、ことに日本においては渉猟する限り見られない。そこで今回の研究では、加害者のインタビューを通して、暴力をふるう原因となるものを追及し、暴力をやめるための方策について考察した。あわせて、DVプログラム内容の検討や効果的なあり方についても考察を行った。 調査対象としては5か所ほどのDV加害者プログラムに通う男性10名程度である。これらDV加害者へのインタビュー調査だけでなく、プログラムの見学も積極的に行なった。またプログラムを実施しているスタッフに対してもお話を聞かせていただいた。 調査の結果として、次のことが明らかになった。今回、分析に際してプログラムに頻繁に参加している人とそうでない人とを比較検討した。両方に共通していたことが、過去にパートナーに対して行った暴力である。身体的暴力はその頻度には差があるが、全員が何らかの形で行っていた。また皮肉を言う、気分をコロコロ変えて相手を不安にさせる、物を壊して怖がらせる、見下すようなことを言う、子どものしつけについてパートナーに責任を押し付けるといった精神的暴力についても同様、全員が行っていた。そしてパートナーに対する一方的な期待や希望、甘え、思い込みは全員が思っていた。例えば「男性を立ててほしい」「自分の実家と上手くつきあってほしい」「子どもへのしつけについて、自分(加害者)の思った価値観や方法でやってほしい」「イライラさせないでほしい」「自分の思いをわかってほしい」「よかれと思ってやってあげたことは感謝してほしい」といったことがあった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の研究計画としては、DV加害者更生プログラムに通う人に対するインタビュー調査を実施することであった。これに対して複数の団体への調査協力を得ることができ、複数名の参加者にインタビュー調査に協力いただけた。
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今後の研究の推進方策 |
2016年度については引き続きDV加害者更生プログラムに通う人に対してのインタビュー調査を数名実施していきたい。また今年度は特にDV加害者プログラムを実施している団体にインタビュー調査、また可能であればアンケート調査を実施していきたい。そこではプログラムの実施状況、課題等を明確にしていきたい。そして米国のロサンゼルス州に渡り、プログラムを実施している団体への訪問、参加者へのインタビュー調査等を計画している。
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