最終年度の研究では、主にDV加害者対応やプログラムを実施している実践者に対してインタビュー調査を行ったものを分析・考察した。今回は、DV加害者への対応を週4日以上実施している実践者に絞ってインタビュー調査を分析することとした。その理由としては、先駆的にDV加害者対応を実践している方々であること、将来的にDV加害者プログラムを実施する際のモデルケースとなる可能性があること、という理由である。その結果、DV加害者への直接的対応に際して、様々な課題と困難性を抱えていた。具体的な例としては、自身の加害行為について十分考察することを避ける当事者への対応があった。また、DV加害者プログラムを欧米諸国等の対応のように裁判所命令等とし、強制的に受講させるべきか否かについて、様々な意見があがっていた。そのうちの一つとして、DV加害行為の課題がある人には強制的にでもDV加害者プログラムにつなげるべきである、というものである。その際には危機対応を含むものであってほしい、という意見があった。そして、DV加害者プログラムそのものに対する批判を受けていることも明らかになった。さらにはDV加害者対応実践者同士の連携の必要性を実感する結果となった。現在はDV加害者対応のあり方が様々で、それぞれの実施団体で暗中模索の状態で実践にあたっている。例えば個別対応、グループワーク、カップル面談等、その効果や配慮が必要な点等、整理の必要性が見える結果となった。 全体を通して、DV加害者プログラムに通う人、プログラムを途中でやめた人、プログラムにパートナーが通っている人、またDV加害者対応を様々な形で実践している方々に多くの意見をいただく機会が得られた。今後、引き続き、インタビュー調査、アンケート調査等を実施するなどして、研究、考察を行っていきたい。そしてDV加害者対応の重要性と必要性をより明確にしていきたい。
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