研究課題/領域番号 |
15K04009
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研究機関 | 山口県立大学 |
研究代表者 |
野村 公香 (増田公香) 山口県立大学, 社会福祉学部, 教授 (60316776)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 障害者虐待 / フィンランド / 施設職員の労働環境 |
研究実績の概要 |
第一に、障害者虐待に関する海外の文献を22本収集し分析及び検討した。その結果、筆者の著書『当事者と家族からみた障害者虐待の実態‐数量的調査が明かす課題と方策』(明石書店,2014年)において障害者虐待の発生要因の構造モデルを提示したが、今回の分析により虐待行為によりその発生構造は異なるのではないか、との仮説を設定した。 第二に、フィンランドのシポー市の福祉事務所の障害者福祉担当のソーシャルワーカーにインタビュー調査を実施し、フィンランドにおける障害者虐待の実態を把握した。 第三に、フィンランドの高齢者虐待対応センターのセンター長及びスタッフにインタビュー調査を行った。フィンランドにおいては成人の障害者虐待に関しては、高齢者虐待の一部として対応する。また近年のフィンランドの障害者関連法の変化との関連性からフィンランドにおける障害者虐待の対応システムの把握を行った。 第四に、フィンランド・シポー市にある高齢者ケア財団のケア部長にインタビュー調査を行った。日本の高齢者施設を数回視察し滞在しているため、日本とフィンランドとの施設における職員の労働環境の相違を確認することができた。その結果、フィンランドとの相違点は、労働時間の厳格さに対する意識の相違、また毎年保障される長期休暇等、施設職員の労働環境が日本とは大きく異なることが明らかとなった。 以上、今後の研究の土台となる基礎研究を展開することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新たな仮説や視点の設定等、次年度以降の研究の土台となる基礎研究が実施できたと考える。
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今後の研究の推進方策 |
日本及びアメリカにおける障害者虐待の事象の検討を深め、新たな仮説モデルを設定する。その上で仮説モデルに基づき、日本・アメリカ・フィンランドにおいて実態把握を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
文献研究やフィンランドにおけるインタビュー調査を中心に展開し、大規模な量的研究を実施しなかったため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、日本及びアメリカにおいてインタビュー調査を実施し、仮説モデルを深める。また仮説モデルに基づき、大規模な量的調査を実施する。
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