研究実績の概要 |
本年度は以下の点を実施した。 第一に、ミネソタ大学の障害福祉研究センターの研究者たちと情報交換を行い、当事者の視点も加味した障害支援に関するマニュアルの情報及び支援のアセスメントに関する情報を入手した。今後日本におけるアセスメント作成を展開したいと考えている。 第二に、アメリカカリフォルニア州において障害のある当事者及びその家族に対しての英語版障害者虐待質問項目を作成しプレテストを実施した。今後はこの英語版障害者虐待実態把握を用いアメリカ及びフィンランドにおいて当事者及びその家族に対しての実態把握を展開したい。 第三に、日本国内の障害者支援事業所において支援者の労働環境と障害者虐待の関連性の実態把握を行った。具体的には日本全国2,192事業所に対し各事業所5名、合計1,0960名に対してアンケート調査を実施した。職種の内訳は、各事業所の管理職に1名・実際に支援に携わっている方4名に対し調査を依頼した。その結果、3,032名から有効回答(回収率27.7%)が得られた。有効回答の結果は、平均年齢は41.7歳(±11.45)で、性別でみると男性1,581名(52.2%)・女性1,441名(47.8%)であった。「あなたの職場で支援する中で困っていることはどのようなことですか。」に関しては、「人手(職員)不足」が多かった。また「あなたの職場で改善をして欲しいことはどういうことですか。」に対しては、「給与」「人員体制」「職員数の増加」が挙げられた。これらの結果から、障害者支援事業所の支援の現場では職員数不足及び給与体制への不満の実態が浮き彫りとなった。また「あなたの利用者への不適切な行為について見たり聞いたりしたことの有無」については「ある」が多かった。今後障害者支援においては支援者の労働環境改善が喫緊の課題であるといえる。
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