今年度は3研究を展開した。 第一に、特別支援学校の教員に対する意識調査である。これはA県内の特別支援学校25校に対し各校30部アンケートを配布し750名に対し実施した。実施期間は2020年3月10日~31日とした。A県内の特別支援学校総数が25校である為、悉皆調査となった。結果は87名から有効回答が得られた(回収率11.6%)。性別は男性37名・女性50名だった。平均年齢は39.8(±11)だった。特別支援学校を障害者虐待防止法の通告対象に入れる有無については、61名(70.1%)の回答者が、「通報対象にするべき」と回答した。理由としては、「児童の人権を守るため」「意識が低い教員がいるから」「職員の人権意識を高めるために必要だと思う。」等、教育現場の教師からの貴重な実態把握をすることができた。 第二に、障害のある当事者及びその家族に対する障害者虐待の実態把握である。A県及びB県の障害のある当事者及び家族会に依頼し各々500名・100名計600家族を対象にアンケートを実施した。実施期間は2020年3月10日~31日とした。結果は183名(回収率30.5%)から有効回答が得られた。性別は男性103名(56.3%)・女性76名(41.5%)・無回答4名(2.2%)で、平均年齢36.6歳だった。これは2005年に実施した調査と同内容で、障害者虐待防止法前後の変化を把握できたと考える。 第三に、アメリカにおける当事者及びその家族に対する障害者虐待の実態把握である。本調査は日本における当事者及び家族に対するアンケートの英語版である。ジョージア州ヴォルド州立大学ソーシャルワーク大学院菅野英恵准教授の協力を得て実施への運びとなったが、開始直後コロナウイルスの為実施が困難となった。
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