研究課題/領域番号 |
15K04013
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
若本 純子 佐賀大学, 教育学部, 准教授 (60410198)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 児童養護施設心理職 / 育成プログラム / 効果研究 |
研究実績の概要 |
本年度は,前年度に実施した全国調査の結果を踏まえ,児童養護施設心理職の困り感が高いテーマを中心として補完的研修プログラムを作成し,効果研究として実践した。 研究協力者はA県の児童養護施設心理職7名であり,1日7時間のプログラムを年5回(平成28年7月,9月,11月,平成29年1月,2月)実施した。各回のテーマは,1.児童養護施設心理職の職務と職務に関する自己分析と目標設定,2.児童養護施設における心理臨床,3.児童養護施設入所児にみられる問題行動とその背景,4.児童養護施設入所児の性的な問題の理解と対応,5.知的障害児の理解と対応であった。各回のプログラムは,講義,個人演習,グループワーク(シミュレーション,ロールプレイ,意見交換)の手法を織り交ぜて実施し,ケースに対するミニSVをホームワークとして書面で実施した。 効果指標としては,執務に伴う自己効力感,施設心理職としてのストレスを毎回評定してもらい,最終回には各回ならびに全体に関して,ニーズとのマッチング,学習方法の適否,満足感の3側面から評定してもらった。また,プログラム終了3か月後の平成29年5月に,インパクト評価を実施する予定である。 プログラム内容に関しては概ね評価が高く,特に,初回の職務に対する自己分析と最終回の知的障害児に関する内容,そして各回のテーマについて他職種にどのように説明するかに関する情報交換やシミュレーションが高評価であった。また,ホームワークによるミニSVは大変好評で,心理職がなかなかSVを受ける機会がないという前年度の全国調査の結果と呼応する状況であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画通り,初年度の全国質問紙調査,本年度の実践研究が完遂されていることから,上記の通り評価した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は最終年度であり,上記研究成果を関連団体,地域,ならびに学会等に対して発信することが主たる目的となる。 初年度に実施した全国質問紙調査の結果は,本年度,紀要論文2本,2学会において発表済みであり,全国児童養護協議会,都道府県児童養護協議会ならびに各施設あてに報告書を送付した。 今後は,実践研究における各指標を用いた効果の検討,その成果の発信を行っていく。 加えて,成果とともに育成プログラム内容を全国児童養護協議会,都道府県児童養護協議会等に発信し,児童養護施設心理職の研修や育成に採用していただくよう働きかけていき,波及効果をねらう。
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次年度使用額が生じた理由 |
1つめの理由は,研究代表者が研究開始と同時に鹿児島から佐賀に異動したため,予定していた研究補助人員が初年度には確保できず人件費に大きな変動が生じたことがある。2つめの理由は,2年目は実践研究を年5回鹿児島で実施する予定だったが,4月に熊本地震があり,交通機関の不通等の影響で旅費の支出がどこまで膨らむか予測できなかったため,購入予定だったPC等の物品購入をいったん保留としたことがある。
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次年度使用額の使用計画 |
3年目は成果発表が中心となるので,学会発表等の旅費,印刷物やWEBページの作成,さらに保留としていたPC購入などに使用する計画である。
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