研究課題/領域番号 |
15K04016
|
研究機関 | 大月短期大学 |
研究代表者 |
宮崎 理枝 大月短期大学, 経済科, 教授 (20435283)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | イタリア / 高齢者介護 / ケアの市場化 / 家事労働 / 移民政策 / 介護政策 |
研究実績の概要 |
本研究の主要目的3点のうち、第1目的は、2000 年代以降のイタリアでは、民間市場の家事領域で介護労働に従事する外国人労働者の劇的な増加の、政策背景を明らかにすることであり、とくに受入れ国であるイタリアの移民政策と社会政策双方の直接―間接的な相互作用性によってこの事態がいかに誘起されてきたのかを、当該労働者への両政策の作用を整理し、明らかにすることであった。 上記の目的通り、2015年度は、全体の約9割が外国人で占められる市場の家事領域の介護労働者の急増に対する移民政策と介護・社会政策全般の相関的な作用を両政策化の制度概要を巨視的に捉えながら整理する作業を行った。結果としては、高齢化の進展と高齢者への給付比率の高い社会保障支出、そして現金給付主流の介護制度によって、現状では、抑制的な介護政策が維持されており、それを代替するために市場の介護労働力として、外国人が越境し、これにイタリアの移民政策は寛容な管理制度を有していることが明らかになった。 上記の作業は当該年度全般にわたって実施し、年度後期からは論文執筆も行った。その研究成果は、2016年4月に宮本太郎・橘木俊詔監修「福祉+α」シリーズ後藤玲子編著『正義』にて、宮崎理枝 「第10章 フリーライディングする福祉制度?」で刊行された。また、現在、イタリアの社会政策誌"Politiche Sociali"(il mulino社)とEuropean Societies(Routledge社)に投稿、査読中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画どおり、進捗している。
|
今後の研究の推進方策 |
今後も研究計画どおり、進行する予定である。そのうち、今後はとくに研究成果の発表を重視する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
上記の研究目的遂行の際して、文献研究を優先し、論文作成を優先したため、また本研究計画内容と重複する他の科研分担研究でイタリアへの現地調査を行ったため、本研究では、当地への海外調査を実施しなかったため、基本的にそのための予算が、次年度に繰り越された。
|
次年度使用額の使用計画 |
2016年度もしくは、2017年度(最終年度)に海外調査を実施する予定である。
|