本研究は先進国のなかでもっとも高齢化が進展し、社会保障支出が増大が見込まれるイタリアと日本について、両国の高齢者介護政策と移民政策が、いかに両政策の相互的な作用によって介護供給の市場化と外国人化を促しているのかを分析した。 分析の結果、2017年までの日本では、EPA制度だけが外国人介護労働者の受け入れ制度となっており、入国管理制度とも連携した厳格な制度施行により、入国前後で労働者の選別と教育が実施された。これに対して、イタリアでは、外国人介護労働者は個人家庭が直接雇用する家事労働者となっており、介護制度に直接含まれないだけでなく、入国管理制度によっても入国前後の選別と教育が実施されなかった。
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