本研究は、在宅で終末を迎えた高齢者と、それを支援した居宅の介護事業所についてどのように支援を行ったかについて調査を行っている。そのなかで、在宅での終末での過ごし方とそれを支える生活上のQOLの関係性についても調べた。第1に、本人の意向が反映された居宅計画は、利用者自身のQOLも高く、支援者・家族・本人が同一の方向を向いている「終末ケアプラン」が確認できた。また、第2に、本人がサービス利用を最後まで拒否し続けたケースでは、救急車で搬送され死亡したケースも見られた。 第3に、デイサービス等利用者の8割は女性であり、男性と介護サービスは無縁と感じている方も多数見られた。第4に、在宅終末ケアの決め手は、ケアマネージャによるところが大きく、その力量が終末ケアに左右することが明らかになった。終末ケアを実施している事業所は地域との差がみられ、地域、近隣、自治会活動と福祉のサービス体制については、有機的な関係性がみられた。2018年度では、高齢者の終末ケアと生きがい活動の関連性についても調べた。家族、支援員、本人がケアプランの策定に参画しているケースは、終末ケアの満足度が高かった。高齢者の擁護者に対する虐待、引きこもり、8050問題など、今日の高齢者問題は、社会学の視点から、現代社会福祉の縮図としてとらえることができる。 つまり、一世帯に複数の生活課題が内在しているのである。ケアマネは、利用者の居宅訪問時に介護のみならず、同居世帯の精神障害の子、引きこもりの息子など、4人世帯ですべての同居者が社会福祉の支援を必要としているケースも見られた。居宅の終末ケア研究を通して明らかにされたことは、8050問題の早期の取り組みと、今後地区自治会活動と福祉サービス、自助、互助、共助、公助でありローカリズムからグローバリズムへの転換と多元的福祉社会の構築である。
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