研究課題/領域番号 |
15K04025
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
吉澤 寛之 岐阜大学, 教育学研究科, 准教授 (70449453)
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研究分担者 |
吉田 俊和 岐阜聖徳学園大学, 教育学部, 教授 (70131216)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 社会系心理学 / 教育系心理学 / 反社会的行動 / 行動決定心的過程 / 意識・無意識 / 実行認知機能 / 内的・外的影響要因 / 教育・発達モデル |
研究実績の概要 |
本研究では、(1) 意図性に基づき分類された行動決定心的過程(Behavior Making Mental Process: BMMP)が多様な反社会的行動を説明するモデルとして有効であることを確認した上で、(2) BMMPの各過程が相互に影響することで反社会性を深化させるメカニズムを明確化する。続いて、(3) biopsychosocialモデルに基づきBMMPに影響する内的・外的要因を明らかにするとともに、(4) 教育・発達モデルの双方向的観点から行動が再帰的にBMMPに影響する可能性を検証する。 本年度は研究2として、BMMPと多様な反社会的行動との関連を分析するため、児童虐待、DV、ストーカーとの関連を検討する目的で、性障害専門医療センターでの調査実施を依頼している。 研究3のBMMPの相互影響メカニズムに関する3年間縦断調査と研究4のBMMPへの内的・外的影響要因に関する縦断調査について、1年目の調査を複数の小中学校にて実施した。また、複数の高校で2年目の調査を完了している。 研究5の教育・発達モデルについては、小学校5年生以上の縦断調査データが得られるため、予定よりは対象年齢が高くはなるものの検証が可能となっている。 研究6はBMMPへの介入プログラムの開発を目的としているが、昨年度、調査結果をアセスメント結果に位置づけて各校へフィードバックしており、その際に学級単位で有効な介入プログラムを提案するコンサルティングの取り組みを実践している。 分析結果の一部は、論文や国内外の学会発表で成果として報告されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度は、研究1が完了、研究2がほぼ完了、研究3と研究4の縦断調査は小中学校では1回目、高校では2回目を実施完了している。さらに、平成29年度の調査は調査票の印刷・配達を手配済みであり、実施校からは平成30年度の3回目調査の確約も得ている。研究5は部分的な検証が可能な状態になっており、研究6は介入プログラムの開発と実践が始められている。以上のことから、当初計画の研究群はほとんど完了していることから、当初の計画以上の進展と判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、研究3と研究4の縦断調査について次年度に向けた実施の完了を目指す。併せて、BMMPと児童虐待、DV、ストーカーとの関連分析のため、性障害専門医療センターでの調査を実施する。研究5では低年齢のBMMPの測定が可能となっていないため、描画や仮想場面法を採用して測定法を簡易化する。研究6のBMMPへの介入プログラムについては、未開発の部分について、研究代表者の研究室に所属する院生の協力を得て、具体的なプログラムの開発に着手する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度からの3年間の縦断調査において、1回の調査で対象者が2000名以上と大幅に増加し、調査用紙の印刷・配達とデータ入力を業者に委託するために膨大な経費が必要となることが予測されたため、平成27年度に引き続き平成28年度も支出を最低限に抑えた。さらに、本年度の調査結果に関しては、次年度以降の国内外の学会において発表するため、旅費の支出も最低限に抑えた。測定法や介入プログラムの開発においては実質的な経費を要することが予測された。したがって、研究遂行上の計画的な理由により次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額は、3年間の縦断調査において、調査用紙の印刷・配達とデータ入力を業者に委託するための経費や、測定法や介入プログラムの開発費用に充当される。さらに、European Congress of Psychologyなどの国際学会への出張経費に充当される。
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