身近な人間関係における援助行動やソーシャルサポートの重要性が、近年数多く指摘されている。しかし、日本人を含め東アジア人は援助要請を抑制しやすい。この文化差の理由として、従来は「アジア人は関係懸念が高いから」という説明が主流であった。 しかし、構成概念や関連プロセスの不明瞭性など、関係懸念説には疑問点もあると考えられた。そこで本研究ではその代替説明として、貢献感と援助要請には互恵性に基づき正の関連があり、日本人の貢献感の低さが援助要請の抑制に繋がるという貢献感仮説を提唱した。日米成人を対象とした複数回の調査結果から、関係懸念説よりも貢献感仮説による説明の方が相対的に妥当と結論づけられた。
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