研究課題/領域番号 |
15K04027
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
釘原 直樹 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (60153269)
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研究分担者 |
植村 善太郎 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (20340367)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 匿名性 / 服従 / 同調 |
研究実績の概要 |
本年度の研究としては第1にわが国で行われたミルグラム・タイプの服従実験について検討した。服従実験はわが国では行われていないと思われているが、実は1981年に実験が行われていて、未発表の論文(卒論)として存在している。この論文はミルグラムの実験と同じく、450Vまでの服従行動について検討している。ここではそのデータを再分析し、さらに最近申請者自身が行ったBurger(2009)タイプの実験(150Vまでで、実験を停止)やミルグラムの古典的実験結果との比較を行った。結果、わが国の服従率に関してはミルグラムやBurgerの研究結果より若干高いことが明らかになった。 第2に同調実験を行った。前年度までの実験では、刺激図(アッシュの同調実験に用いられたもの)に対する反応潜時を測定するために、全実験参加者の前に衝立が置かれ、参加者は立ち上がらなければ刺激図が見えない状態に置かれた。反応潜時は実験参加者が立ち上がって、刺激図を見て、回答するまでの時間で測定された。実験の結果はアッシュの同調実験結果と異なり、集団サイズが4名を超えても同調率が高くなることが明らかになった。そこで28年度は106名の実験参加者を対象にしてアッシュの実験と全く同じ状況(衝立を置かない)で実験を行った。この実験でも前年度に行った実験と同じく、集団サイズの効果を見るために、実験参加者もサクラになった。最初2人集団から始めて1人ずつサイズを増やし最終的に8人集団になるまで実験を行った。その際、各サイズの最後の人が実験参加者となり、その他の人にはサクラの役割を果たしてもらった。これについては現在データを分析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は道徳規範からの逸脱行為の典型例として服従行動に関するわが国の研究に着目して分析を行った。それから27年度にひきつづき同調行動に関する実験も実施した。
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今後の研究の推進方策 |
服従行動に関しては今後、実験参加者の発言の分析を詳しく行う。それから同調実験に関しても分析を行い、前年度のデータと比較する。
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次年度使用額が生じた理由 |
これまで複数回の同調実験を繰り返してきた。しかし、この実験は集団実験であるため、実験参加者が一人でも欠ければ実験が実施できない。そのようなことが複数回生じたため、次年度に費用を繰り越すことになった。
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次年度使用額の使用計画 |
この費用を次年度の実験に使用する。それから、英文論文作成のための費用として使用する。
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