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2017 年度 実施状況報告書

道徳規範からの逸脱行為と匿名性

研究課題

研究課題/領域番号 15K04027
研究機関大阪大学

研究代表者

釘原 直樹  大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (60153269)

研究分担者 植村 善太郎  福岡教育大学, 教育学部, 教授 (20340367)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2019-03-31
キーワード攻撃 / 報復 / 怒り
研究実績の概要

本年度はTDA(触発置き換え攻撃(triggered displaced aggression:TDA))と本来の対象に対する報復攻撃の2つの攻撃行動が混在する場面を設定し、その中で攻撃者が報復攻撃やTDAをどの程度行なうかを測定した。低強度の怒り触発刺激は、それ自体は曖昧で刺激としては弱く、単独では攻撃行動を触発することはない。しかし本来の怒りによりプライミング(かき立てられ、方向づけられ)された場合、低強度の刺激が攻撃対象として鮮明なものとなるのである。本来の対象に報復できず怒りに震えている時、些細な出来事(例えば自分を苛立たせたり、がっかりさせたりするような他者の言動)に遭遇すると、その些細さとは不釣り合いの強い攻撃反応を引き起こすことがある。
実験ではまず怒りを発生させる(プライミング)操作を行った。実験参加者にはアルファベットを並べ替えて意味のある単語を作成するアナグラム課題が与えられ、5分でできるだけたくさん回答するように言われた。「怒り条件」では、課題終了後、実験参加者は創造性に関する能力が低かったとのフィードバックが与えられた。一方、「怒り無条件」では、標準的な能力であったと言われた。
この手続きの後、触発(trigger)の操作が行われた。それはアナグラム課題の採点者とは異なる誘発者が実験室に来てパーティション越しに口頭でクイズを出して実験参加者がそれに口頭で答えるというものであった。誘発条件はクイズを読み上げている最中、漢字の読み間違い、早口、咳き込むといった誘発者の不手際が目立つような条件であった。誘発なし条件はそのような不手際はなかった。実験の結果、怒り(挑発)条件のとき怒り無群と比較して、誘発者への不快度は有意に高い傾向にあった。挑発が誘発者への怒りを増幅した可能性がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本年度は道徳規範からの逸脱行為の典型例としてTDA(触発置き換え攻撃(triggered displaced aggression:TDA))に着目して分析を行った。それから28年度にひきつづき同調行動に関する検討も行った。ただしデータ分析がまだ進んでおらず、今年度には完成させる予定である

今後の研究の推進方策

同調実験に関しては、反応の速さ(反応潜時)の分析を行い、反応率と潜時の関連について分析する。TDAに関しても、さらにデータの分析を進める。

次年度使用額が生じた理由

同調実験のデータ分析が進まず、中断してしまった。特に反応潜時の分析はビデオを見ながら行うために、処理に時間がかかり不完全なものとなった。新たな方法(ソフト)や機材の購入費、それから謝金として残額を使用する

  • 研究成果

    (17件)

すべて 2017

すべて 雑誌論文 (5件) (うちオープンアクセス 5件、 査読あり 3件) 学会発表 (11件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 世界の終末に善人が消えるのか?存在脅威管理理論からみた利他的行動への意思決定2017

    • 著者名/発表者名
      法 卉・釘原 直樹
    • 雑誌名

      信学技報

      巻: 117 ページ: 15-19

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] SNSにおける情報拡散の意思決定過程に自我関与が与える効果2017

    • 著者名/発表者名
      寺口 司・釘原直樹
    • 雑誌名

      信学技報

      巻: 117 ページ: 21-24

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 過去経験が集合的効力感に及ぼす影響――成員の道具性に着目した検討――2017

    • 著者名/発表者名
      内田 遼介・釘原 直樹・東 亜弓・土屋 裕睦
    • 雑誌名

      心理学研究

      巻: 88 ページ: 219-229

    • DOI

      https://doi.org/10.4992/jjpsy.88.15060

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 集団凝集性に対する集合的効力感の散布度の予測力2017

    • 著者名/発表者名
      内田遼介・河津慶太・釘原直樹
    • 雑誌名

      体育学研究

      巻: 62 ページ: 313-321

    • DOI

      10.5432/jjpehss.16072

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 親しい相手との身体接触に関する日韓比較研究2017

    • 著者名/発表者名
      曺 美庚・釘原 直樹
    • 雑誌名

      応用心理学研究

      巻: 43 ページ: 45-53

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] モノレールにおける運転士のトラブル対処行動へのチェックリストの影響2017

    • 著者名/発表者名
      高原龍二・釘原直樹
    • 学会等名
      日本心理学会第81回大会
  • [学会発表] シンポジウム テロリズムに対して心理学は何ができるのか(2)2017

    • 著者名/発表者名
      越智啓太・大上渉・西田公昭・釘原直樹
    • 学会等名
      日本心理学会第81回大会
  • [学会発表] 世界の終末に善人が消えるのか:存在脅威管理理論からみた利他的行動への意思決定2017

    • 著者名/発表者名
      法卉・釘原直樹
    • 学会等名
      日本グループ・ダイナミックス学会第64回大会
  • [学会発表] なぜ利他行動の自己アピールは悪印象を与えるか2017

    • 著者名/発表者名
      阪本怜亮・釘原直樹
    • 学会等名
      日本グループ・ダイナミックス学会第64回大会
  • [学会発表] 日本人を対象とした服従実 Milgram (1974)やBurger (2009)の実験との比較2017

    • 著者名/発表者名
      釘原直樹・寺口司・阿形亜子・内田遼介・井村修
    • 学会等名
      日本社会心理学会第58回大会
  • [学会発表] 集団内葛藤が集団創発性へ与える影響 共有リーダーシップによる媒介効果の検討2017

    • 著者名/発表者名
      井奥智大・釘原直樹
    • 学会等名
      日本社会心理学会第58回大会
  • [学会発表] 詐欺の手口はどのようにして思い出されるのか? ―情報処理ルートが予告の想起に与える影響―2017

    • 著者名/発表者名
      大工泰裕・釘原直樹
    • 学会等名
      日本社会心理学会第58回大会
  • [学会発表] 個人と集団全体の死の顕現化が内集団批判者の評価に与える影響 集団的死の顕現化操作により検討2017

    • 著者名/発表者名
      法卉・釘原直樹・綿村英一郎・寺口司
    • 学会等名
      日本社会心理学会第58回大会
  • [学会発表] ラベリングが集団間葛藤の記憶に与える影響 再認課題を用いた検討2017

    • 著者名/発表者名
      寺口司・釘原直樹
    • 学会等名
      日本社会心理学会第58回大会
  • [学会発表] 認知的負荷が集団意思決定に及ぼす影響2017

    • 著者名/発表者名
      今村夕貴・釘原直樹
    • 学会等名
      日本社会心理学会第58回大会
  • [学会発表] 定量的指標を用いた集団極化の検討2017

    • 著者名/発表者名
      青木香保里・木谷圭一・辻勇士・藤井結佳利・釘原直樹
    • 学会等名
      日本社会心理学会第58回大会
  • [図書] あなたの部下は、なぜ「やる気」のあるふりをするのか2017

    • 著者名/発表者名
      釘原 直樹
    • 総ページ数
      199
    • 出版者
      ポプラ社
    • ISBN
      4591154637

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公開日: 2018-12-17  

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