今年度は、実車を用いた運転挙動計測システムについて、昨年度開発したシステムの問題点の改修や機能追加を実施した。その結果、運転挙動計測システムは、解析モードと評価モードの2つのモードを有するシステムとなった。解析モードでは、解析する場所あるいは時間を指定し、指定した区間において、車に搭載したカメラからの前方映像、ドライバーの頭部に装着したカメラからの前方映像、ドライバーの頭部回転角度や見通しの悪い交差点での左右確認を調べるための上体の傾き(前傾姿勢)の有無、右足の位置(ペダル操作)、車速や車両の位置をグラフや数値で表示でき、ドライバーが自身の運転の振り返りをすることができる。今年度の改良により、交差点だけではなく、クランクやS字、方向転換における運転挙動も解析可能となった。これらの狭隘道路における運転挙動を解析するシステムは他にはなく、本システムの特徴といえよう。評価モードでは、自動車学校指導員へのヒアリングを元に作成した基準を使用して作成した、運転の評価得点(右折、左折、クランク、S字、方向転換における運転操作に関するそれぞれの得点とそれらの得点を統合した総合得点)や運転アドバイスを表示することができるようにした。また、開発者以外の人(たとえば、自動車学校指導員)が使用しやすいように、ユーザインタフェースの改良も実施した。 昨年度に取得した自動車学校の教習用コースの走行データに対して、開発システムの適用を行った。さらに、開発には携わらなかった別の自動車学校指導員に走行データならびにシステムの評価得点を比較してもらい、問題点の抽出を実施した。
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