過去10数年の間に身体的感覚と心理過程の関連を検討する身体化認知の研究が大きく進展した。その中で身体的な温かさ・冷たさの経験と対人関係に関わる認知過程の関連が検討され、身体的な寒さの感覚は、他者とのつながりが疎であるという認知と結びついていることが示されてきた。先行研究を踏まえ、身体的な温かさの経験が、他者との関係が円滑であることの手がかりとして働き、相互理解の過大視につながることを心理実験によって検討した。その結果、身体的な温かさの経験は相手の意図や性格を理解できると思う程度を促進することが示された。
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