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2016 年度 実施状況報告書

安全行動の要因としての「仕事の誇り」と組織の公正

研究課題

研究課題/領域番号 15K04040
研究機関立教大学

研究代表者

芳賀 繁  立教大学, 現代心理学部, 教授 (10281544)

研究分担者 田中 堅一郎  日本大学, 大学院総合社会情報研究科, 教授 (80212033)
山浦 一保  立命館大学, スポーツ健康科学部, 教授 (80405141)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード職業的自尊心 / 組織的公正 / 情緒的コミットメント / リーダーシップ / 仕事に対する誇り / 作業安全
研究実績の概要

質問紙調査において、職業的自尊心-安全行動意思モデルの構成要因に上司のリーダーシップが与える影響を検討した(2016年8月,11月)。上司に改革型リーダーシップおよび支援型リーダーシップがあると評価した作業者において、過度の作業予定厳守に追われることなく、会社任せではない安全態度を持ち、安全行動をとることが職場で評価されると感じていた。また、自分の上司が誠実で公正だと感じ、会社への愛着も比較的高くなっていた。同調査において、職業的自尊心-安全行動意思モデルの品質管理への応用を検討した。安全行動を作業ミス防止と置き換えて検討したところ、同程度の適合がみられた。web調査を実施し、職業的自尊心と安全レジリエンス態度の関連について検討した(2017年3月)。安全レジリエンス態度に「人間判断への信頼」因子と「想定外を想定」因子が見出され、「人間判断への信頼」に対して職業的自尊心が促進効果を、情緒的コミットメントが抑制効果が認められた。「想定外を想定」に対しては両要因ともに効果がみられなかった。職業的自尊心-安全行動意思モデルに組織的公正、情緒的コミットメントを導入したモデルが作業現場で得られたデータに対して有効であったという分析結果と考察を原著論文にまとめた。(芳賀)
組織的公正の最新研究動向について調査し、その結果を展望論文としてまとめた。(田中)
今年度までのデータをもとに、仕事に対する誇りの促進条件に関する研究レビュー、およびその論文化を進めている。(山浦)

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

職業的自尊心-安全行動意思モデルの適用領域の拡大を試みることができた。
職業的自尊心の効果を確認するにあたって、産業現場から要請されたリーダーシップおよび品質管理との関連を検討対象とし、調査データから関連が確認された。具体的には、調査対象の業種を新たに開拓し、またそれらに対して研究成果を要望に応じたかたちで還元することができた。
職業的自尊心が自律的な業務推進意欲を促進するという考察に基づき、web調査にて職業的自尊心が安全レジリエンス態度を促進するかどうかを検討することができた。これにより、2017年度の質問紙調査でさらに検証をすすめる手がかりが得られた。
組織的公正、および仕事の誇りの構成要素について概念的整理を進めることができた。

今後の研究の推進方策

職業的自尊心-安全行動意思モデルが多業種で適用できるという知見、および同モデルが品質管理においても応用可能であるとの知見について論文化する。
職業的自尊心、組織的公正と業務推進意欲の自律性、および安全レジリエンス態度について半構造面接および医療従事者に対する質問紙調査を実施し、その知見を公表する。
また、組織的公正の最新研究動向について引き続き調査し、特に組織的公正が影響を与える要因を中心に展望論文としてまとめる。

次年度使用額が生じた理由

平成29年3月にweb調査を行うにあたって、平成28年度支払い請求額の残高では調査費用が不足することが見込まれたため、400,000円の前倒し支払いを請求した。しかし、質問紙調査のデータ入力委託費用が予定より安価であったこと、およびRAの勤務時間が予定より少なかったことにより、前倒し請求分を使わなかったため。

次年度使用額の使用計画

平成29年度に実施する調査に面接調査を追加し、その謝礼およびデータ入力委託、RA給与にあてる。

  • 研究成果

    (13件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 5件、 招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 公正な職場は仕事の誇りと安全行動意思を高めるか:職業的自尊心-安全行動意思モデルと組織的公正,情緒的組織コミットメント2017

    • 著者名/発表者名
      大谷華・芳賀繁
    • 雑誌名

      産業・組織心理学研究

      巻: 印刷中 ページ: 印刷中

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] エラーマネジメントの過去と未来:ヒューマンエラーから組織事故,そしてレジリエンス・エンジニアリングへ2016

    • 著者名/発表者名
      芳賀繁
    • 雑誌名

      電気評論

      巻: なし ページ: 7-10

  • [雑誌論文] 組織における公正研究の動向 ―組織的公正研究の「4つの波」とそれらに続く21世紀の新たな波―2016

    • 著者名/発表者名
      田中堅一郎
    • 雑誌名

      日本大学大学院総合社会情報研究科紀要

      巻: 17 ページ: 293-300

    • 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] 青年期の1 対人関係および自己のあり方と青年の就労意識に関する構造の検討2016

    • 著者名/発表者名
      岡田 努・榎本博明・下村英雄・山浦一保
    • 雑誌名

      心理学の諸領域

      巻: 5 ページ: 41-52

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] How business philosophy affects creative activities: The Inamori management case2017

    • 著者名/発表者名
      Yamaura, K., Kono, T., & Sato, T.
    • 学会等名
      15th European Congress of Psychology
    • 発表場所
      Amsterdam, Netherlands
    • 年月日
      2017-07-11 – 2017-07-14
    • 国際学会
  • [学会発表] チームマネジメントによる妬み緩和条件の検討2017

    • 著者名/発表者名
      荒木貴仁・山浦一保
    • 学会等名
      京都滋賀体育学会第146回大会
    • 発表場所
      龍谷大学(京都府京都市)
    • 年月日
      2017-03-05 – 2017-03-05
  • [学会発表] What does the Inamori Management Philosophy bring?2016

    • 著者名/発表者名
      Yamaura, K., Sato, T., & Kono, T.
    • 学会等名
      Ritsumeikan Inamori Philosophy Research Center The 2nd International Symposium
    • 発表場所
      立命館大学(大阪府茨木市)
    • 年月日
      2016-12-08 – 2016-12-08
    • 国際学会
  • [学会発表] 雇用形態により仕事の誇りの効果は異なるか:拡張版職業的自尊心-安全行動意思モデルと従業員特性2016

    • 著者名/発表者名
      大谷華・芳賀繁
    • 学会等名
      産業・組織心理学会第32回大会
    • 発表場所
      立教大学(埼玉県新座市)
    • 年月日
      2016-09-03 – 2016-09-04
  • [学会発表] 重森雅嘉・大嶋玲未・芳賀繁,最前線作業現場の自主的安全リーダー:高速道路メンテナンスにおけるSAFETY-II2016

    • 著者名/発表者名
      重森雅嘉・大嶋玲未・芳賀繁
    • 学会等名
      産業・組織心理学会第32回大会
    • 発表場所
      立教大学(埼玉県新座市)
    • 年月日
      2016-09-03 – 2016-09-04
  • [学会発表] Psychology and Safety Practice: How can we psychologists contribute to safety?2016

    • 著者名/発表者名
      Haga, S.
    • 学会等名
      31st International Congress of Psychology
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(神奈川県横浜市)
    • 年月日
      2016-07-24 – 2016-07-29
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Effective leadership behavior to recover collective efficacy after a devastating loss.2016

    • 著者名/発表者名
      Yamaura, K. & Endo, Y.
    • 学会等名
      The 31st International Congress of Psychology
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(神奈川県横浜市)
    • 年月日
      2016-07-24 – 2016-07-29
    • 国際学会
  • [学会発表] Why we forgive our valuable partners: Rational calculation, emotional adaptation, or a mixture of both?2016

    • 著者名/発表者名
      Smith, A., Yagi, A., Yamaura, K., Shimizu, H., McCullough,M. E., & Ohtsubo, Y.
    • 学会等名
      The 28th annual conference of the Human Behavior and Evolution Society
    • 発表場所
      Vancouver, Canada
    • 年月日
      2016-06-29 – 2016-07-02
    • 国際学会
  • [図書] ナカニシヤ出版2017

    • 著者名/発表者名
      坂田桐子(編著):山浦一保 他4名
    • 総ページ数
      印刷中
    • 出版者
      「社会心理学的リーダーシップ研究のパースペクティブⅡ」第4章:交換関係としてのリーダーシップ

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公開日: 2018-01-16  

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