研究課題/領域番号 |
15K04045
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
畑中 美穂 名城大学, 人間学部, 准教授 (80440212)
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研究分担者 |
松井 豊 筑波大学, 人間系, 教授 (60173788)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 惨事ストレス / 災害救援者 / 神経心理学的検査 |
研究実績の概要 |
消防職員約231 名(初任科研修中の新人職員102 名、3~9年の職務経験を有する職員129 名)を対象に、神経心理学的検査と質問紙調査を実施した。神経心理学的検査として、標準注意検査の中からTapping SpanとDigit Spanを使用した。質問紙調査では、過去のストレス体験の有無とその内容を尋ねた他、心的外傷性ストレス症状(IES-R)、精神的健康(GHQ-12)、うつ症状(K6)等の適応指標を測定した。 最も辛かったストレス体験として職務上の体験を報告した現場職員は129名中77名であり,12名(当該体験のIES-R回答者中15.6%)がIES-Rのハイリスク群(>24)であった。GHQ-12のリスク群(>3)は現場職員が40.6%,新人職員が25.3%と現場職員においてリスク群の偏りが大きかった(χ2(2)=6.297,p<.05)。K6のリスク群(>4)は現場職員が33.3%,新人職員が26.7%であり有意な偏りはみられなかった(χ2(2)=1.166,n.s.)。 Tapping Spanの正答数の平均値は、Forwardが6.7(新人職員:6.7、現場職員:6.7)、Backwardが6.3(新人職員:6.1、現場職員:6.4)、Digit Spanの正答数の平均値は、Forwardが6.8(新人職員:6.8、現場職員:6.9)、Backwardが5.5(初任職員:5.4、現場職員:5.5)であった。 本年度の調査データは、神経心理学的指標と適応指標のベースラインデータとして今後の研究に使用する。次年度は、半年間隔で追跡調査を2回実施し、ベースラインデータに対応する指標に加えて、前回測定時以降の惨事体験の有無と当該体験に起因するストレス反応等を測定する。追跡調査と初回調査とを比較し、惨事体験の影響や、神経心理学的指標と適応指標の変動との関連を検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
神経心理学的検査のプログラムの完成が遅れ、調査開始時期が遅くなった。また、調査にご協力いただいた機関の都合から実査期間が長くなった。これらの理由のため、今年度の調査の終了時期が当初計画よりも3ヶ月ほど遅れた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度実施した初回調査の参加者を対象として、当初計画の通り、翌年度(平成29年度)に追跡調査を2回実施する。追跡調査1は初夏に、追跡調査2は冬に行う予定である。 なお、追跡調査を2回実施することについて、初回調査にご協力いただいた消防本部から既に承諾を得ている。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度中に追跡調査1を開始する予定であったが、初回調査の終了が遅れたために追跡調査1の開始が翌年度(平成29年度)となり、追跡調査1のための出張旅費やRAの雇用が今年度は発生しなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
翌年度(平成29年度)に追跡調査を実施し、実査にかかる出張旅費やRA雇用の謝金として使用する。
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