研究課題/領域番号 |
15K04051
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
水野 智美 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (90330696)
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研究分担者 |
徳田 克己 筑波大学, 医学医療系, 教授 (30197868)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 発達障害 / 障害受容 / 保護者 |
研究実績の概要 |
発達障害傾向のある子どもを担当する幼稚園、保育所に勤務する保育者に対するヒアリング調査および発達障害傾向のある子どもを育てる保護者に対するヒアリング調査および育てにくい子どもを持つ保護者7,8名を1グループにした座談会(筆者がファシリテータ)を行った。 保育者に対するヒアリング調査から、子どもの特性、障害の程度、保護者自身の発達障害傾向の有無、きょうだいの有無等によって、我が子の障害を受容する保護者の心理状態に違いがあることがわかった。特に、知的発達にそれほど問題がみられない子どもに対しては、保育者は支援の必要性を強く感じているが、保護者は我が子が集団活動で困っている状態に気づかなかったり、保育者が指摘しても反発をして、より我が子の状態に目を向けようとしない傾向が確認された。 発達障害傾向のある子どもを持つ保護者を対象にしたヒアリング調査から、保護者が子どもの障害に目を向けるまでの苦しみが明らかになった。保護者にとっては、我が子が周りの子どもと違うことに気がつきながらも、「我が子に発達障害の傾向がある」と認めることは、子どもの将来を否定することになると考え、保育者にいくら指摘されても我が子の状態に目を向けないようにしてきた者が多くいた。 座談会によって、参加者に「わが子が育てにくいのは,自分の育て方のせいではなく,発達障害の傾向に原因があるのだ」と気づくきっかけを与えることができた。また、専門家から育て方のアドバイスを聞いたり,参加者同士が,自分たちが普段している子育ての工夫を話すのを聞いたりすることによって,具体的に自分の子どもの問題行動に対して,どのように対応したらよいのかを知ることができた。さらに、座談会に参加するまでは,「なぜうちの子だけが」と悩んでいた保護者が「発達障害の傾向のある子どもがいるのは自分だけではない」という思いを持つことができていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
発達障害傾向のある子どもを持つ保護者で、すでに受容が進んでいる者にヒアリング調査の調査協力者を募る際に、多くの時間が必要となり、その部分の調査を進めることができなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
発達障害傾向のある子どもを持つ保護者で調査協力を申し出ていただいた方をかなり募集できたため、今後は精力的に進めていきたい。 また、引き続き、発達障害傾向のある子どもを担当する保育者および保護者に対するヒアリング調査や保護者を対象にした座談会を重ねていき、どのような情報を保護者に提供し、どういった環境を作ると保護者の障害受容が進むのか、また逆効果になるのかについての資料をえていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
発達障害傾向のある子どもを持つ保護者で、調査に協力いただける方がなかなか見つからず、調査時期がずれこんでしまったため
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次年度使用額の使用計画 |
現在、調査協力者がかなり集まったため、今後は調査が順調に進む見込みであり、調査費として使用する。
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