研究実績の概要 |
統計的な手法により,二つの異なるテストX, Yのスコアを比較可能にすることを「対応づけ」という.対応づけすると,テストXの80点がテストYの85点に相当するなど,テストX, Yのスコアの対応関係を知ることができる.その際,意味ある対応づけを実現するためには,さまざまな観点から「対応づけ可能性」を吟味する必要がある.本研究の目的は,「対応づけ得点の信頼性」という新たな視点を対応づけ可能性分析に導入することである.
平成28年度までに,対応づけ得点の測定モデルを構築し,対応づけ得点の信頼性を評価するための基本的な指標(測定のRMSE,信頼性係数など)を定式化した.さらに,それらの指標が対応づけ得点の信頼性不足の検出に利用できることを例示した.平成29年度には,対応づけ得点の信頼性がしきい値以上であることを簡便に検出できる指標を定式化した.さらに,対応づけ得点の信頼性という観点から,これまでに定式化した指標を組み合わせ,対応づけ可能性分析に応用できることを例示した.これらの研究成果により,対応づけ得点の信頼性評価が可能となり,対応づけの濫用を防ぐなどの効果が期待できる.
研究成果については,順次,日本テスト学会第13回大会,第14回大会,第15回大会,第16回大会において発表した.最終年度には,NCME(National Council on Measurement in Education)の年次大会(米国ニューヨーク,2018年)においても成果を発表した.今後は,本研究の国際的な独自性を確保するため,海外ジャーナル等への論文掲載を一つの目標として研究を継続する.
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