研究課題/領域番号 |
15K04054
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
上村 惠津子 信州大学, 学術研究院教育学系, 教授 (30334874)
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研究分担者 |
石隈 利紀 筑波大学, 副学長 (50232278)
永松 裕希 信州大学, 学術研究院教育学系, 教授 (60324216)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 保護者面談 / 教育相談 / コンサルテーション / カウンセリング / 支援体制 |
研究実績の概要 |
平成27年度は、教師を対象とした意識調査により保護者面談を苦手とする場面やプロセスを明らかにすることを目的とした。教員91名にアンケート調査を行い、保護者面談が苦手な教師の特徴について自由記述で回答を求めた。その結果、354の記述を得た。 354の記述のうち面談場面に関わる特徴が52%と最も多かった。これらは、子ども理解・指導方針についての教師の思いが強すぎ、保護者との情報交換・共通理解が難しくなるとの特徴と、指導への自信のなさや経験不足から保護者との意見交換が難しくなるとの特徴の2つに大別できた。 面談場面以外の特徴は、一般的な特徴が全体の28%、経験6%、連携意識5%、アセスメント4%と続いた。一般的な特徴では、「自分の考えに固執する」「自分のやり方や考え方をなかなか変えられない」等思考の固さを示す特徴、「人と話すのが苦手」等対人関係やコミュニケーション力に関わる特徴が多かった。経験に関わる特徴では、「保護者面談で今までに痛い思いをした」経験があるといった特徴の他に、教師や親としての経験不足を指摘する記述が多かった。また、連携意識では、「保護者を協力者と思えず、教えないといけないと思っている人」、「上から目線」等対等な立場で関わることが難しい特徴を示す記述がほとんどであった。アセスメントでは、子どもや家庭の実態が把握できず、「具体的エピソードが話せない」といった特徴が示された。 以上の結果から、教師は面談が苦手な教師の特徴を、かたくなで一方的という特徴と自信や方針のなさといった特徴の両面からとらえていることが明らかになった。また、面談場面のみならず、指導場面や日常場面の特徴からもとらえており、面談が苦手な教師へアプローチするには、その教師の特徴をとらえることが重要であると共に、面談場面に限定せず、幅広い視点からのアプローチを検討する必要があると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画では、平成27年度には、保護者面談において教師が苦手とする場面やプロセスを明らかにすることを目的としていた。教師91名に対し、保護者面談を苦手とする教師の特徴について自由記述によるアンケート調査を行った結果、回答を面談場面における特徴と面談以外の場面における特徴に大別することができた。これらの結果は、保護者面談において教師が苦手とする場面やプロセスを明らかにすることにつながる結果であり、研究はおおむね順調であると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度には、平成27年度実施したアンケート調査の結果に基づき、保護者面談に困難を抱える教師へのインタビュー調査を行い、保護者面談を苦手とする教師の特徴について検討する。インタビュー調査は半構造面接とし、保護者面談のどのような場面、プロセスに苦手を感じるのかを確認すると同時に、その原因や背景について聴取する。 平成29~30年度には、保護者面談に苦戦する教師をコンサルティとするコンサルテーションを実施し、これまでの研究成果をまとめ、コンサルテーションモデルを構築する。なお、現段階では、問題解決型コンサルテーションのステップを参考にコンサルテーションの構造を検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該助成金は、意識調査実施のために予定したものであったが、当初計画に比し交通費を削減することができたため生じたものである。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度に請求した助成金と合わせ、当初予定した保護者面談に苦戦する教師へのインタビュー調査を実施する予定である。
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