研究課題/領域番号 |
15K04054
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
上村 惠津子 信州大学, 学術研究院教育学系, 教授 (30334874)
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研究分担者 |
石隈 利紀 東京成徳大学, 心理学研究科, 教授 (50232278)
永松 裕希 信州大学, 学術研究院教育学系, 教授 (60324216)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 保護者面談 / コンサルテーション / チーム援助 / 教育相談 / 支援体制 |
研究実績の概要 |
平成29年度は,保護者面談に困難を抱える教師とのコンサルテーションを実施した。平成28年度実施したコンサルテーションでは,初期に保護者と意見がズレたり,ズレに対処するプロセスに困難を感じズレの原因を保護者の障害受容の未熟さとしていたコンサルティが,中期から後期にかけてズレを尊重する姿勢へと変化したことから,コンサルティが自分のペースで課題に取り組む時間と場所を提供する重要性を報告した。平成29年度には,引き続きコンサルティが苦手と感じる保護者面談の場面やプロセスを確認し,昨年度の成果を踏まえコンサルティのペースや課題を尊重したコンサルテーションを実施し、その課題を検討することを目的とした。 平成28年度とは異なる対象者1名を対象に,週1回のコンサルテーションを4月~12月に行った。コンサルテーションは,保護者とのよりよい連携に向けた課題を検討することを目的とし,コンサルティが作成したレポートを検討する形式で進めた。 当初,コンサルティは,保護者との連携が困難になる背景を,子どもの実態に対する保護者の理解不足と捉えていた。その後,子どもを取り巻く環境に関する情報を確認することで,学校以外の場面での子どもの実態,保護者の立場や心情への理解が促進されていった。さらには,先行研究に基づき,保護者との連携を促進する教師の働きかけを検討した。しかしながら,自らの事例を基に連携を促進する教師の関わりを深めるには至らなかった。 コンサルティは,保護者と意見がズレる場面やズレに対処するプロセスに困難を感じていたが,コンサルティの失敗事例を通して自分自身の対応を振り返るコンサルテーションでは,自らの課題に直面することに困難が生じたとも考えられる。コンサルティの心理的負担を考慮すると、成功事例や他の教員の事例での検討など複数のアプローチを用いる必要性が感じられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画では平成29年度に保護者面談に苦戦を抱える教師へのインタビュー調査を行い、保護者面談を苦手とする教師の特徴について検討する予定であった。しかしながら,平成29年度に,さらにもう1事例,保護者面談を苦手とする教師をコンサルティとして継続的なコンサルテーションを実施する機会を得ることができた。このため,教師へのインタビュー調査を,最終年度に実施することとした。なお,平成29年度にコンサルテーションとインタビュー調査を同時並行で進める事も検討したが,コンサルテーションを実施した結果に基づき,インタビュー調査の内容を検討する必要があると考え、インタビュー調査を延期することとした。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度には、教師を対象に,保護者面談に苦戦を抱える教師の特徴についてインタビューを行う。インタビューは、半構造面接とし、保護者面談で苦手と感じる場面やプロセスを確認すると同時に、その原因や背景について聴取する。また、保護者面談に関するコンサルテーションの有効なあり方についても聴取することとする。 最終的には,平成28~29年度に行ったコンサルテーションおよび平成30年度に実施するインタビュー調査の結果を踏まえ、コンサルテーションのモデルを構築する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該助成金はインタビュー調査実施のためのものであったが、当該年度の未使用額は平成29年度の計画を変更し、インタビュー調査を平成30年度に延期したために生じたものである。平成30年度請求額と合わせ、インタビュー調査を行い、コンサルテーションのモデルを構築する予定である。
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