研究実績の概要 |
本課題は、近年教育心理学領域で注目されている、学習への主体的な取り組みを意味するエンゲージメント(engagement)に注目し、従来考えられてきた「適合状態」としての学習適応を越えて、動機づけを含む学習への積極的な関与状態(例 Christenson, Reschly, & Wylie, 2013)をもたらす教育介入による、多面的な動機づけ促進の実践とその効果について検証を行うことを目的とした。 今年度は、本課題において実施した小学6年生を対象とした実践的介入研究に関して、そのデータを改めて検討した。実際の作文授業に実践的な介入を行い、修学旅行を主題としたライティングへの動機づけおよび学習方略の支援が、作文学習への興味および学業遂行への影響などについて明らかにした。その成果を心理学領域で国際的な広がりのある主要学会のひとつである、International Congress of Applied Psychology(2018国際応用心理学会議)において発表した。動機づけ支援と学習方略支援を比較対照し、その効果を検討した研究はほとんど見当たらず、国際学会における教育心理学研究者などの参加者に興味ある成果を発信することができた。さらに研究成果の一部を、国内の学会招待講演において、また教育心理学会でのシンポジウムにおいてもプレゼンテーションした。研究の最終年度として、その成果を専門領域および国際的にも発信する貴重で意義ある機会となった。実践的および動機づけ研究への示唆を得る意味ある研究だといえる。
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