研究課題/領域番号 |
15K04059
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
中西 良文 三重大学, 教育学部, 准教授 (70351228)
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研究分担者 |
長濱 文与 三重大学, 教養教育機構, 准教授 (10555486)
守山 紗弥加 三重大学, 地域人材教育開発機構, 特任講師(教育担当) (50701439)
梅本 貴豊 九州女子大学, 人間科学部, 講師 (50742798)
下村 智子 三重大学, 教養教育機構, 准教授 (80557984)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 協同学習 / 社会的動機づけ / 協同学習中の行動 / 協同作業の認識 / 階層線形モデル / パフォーマンスアセスメント |
研究実績の概要 |
本年度は,前年度同様にデータの収集を行うとともに,収集したデータについての分析を進め,それらを学会発表や論文としてまとめている。 まず,前年度に行われた大規模な縦断的調査データの分析が行われている。本年度は量的なデータの検討として,グループごとの検討を進めるため,階層線形モデルによる検討を進めた。これらに基づき,特にグループ構成初期の時点でのグループ間差に関するいくつかの結果を見出している。たとえば,個人の持つ社会的動機づけの一側面としての「他者からの触発による動機づけ」から,グループ内の相互作用にも関係する「協同効用」に対する有意な正の関連が見られただけでなく,グループによって「協同効用」の高さが異なるとともに「他者からの触発による動機づけ」から「協同効用」に対する関連の強さが異なることが見いだされた。また,社会的スキルの高さが学習行動としての傾聴を予測するがその多少による影響が集団の協同効用が高い場合は緩和される,すなわち,協同効用が高い集団では社会的スキルの低さによる傾聴の低下が緩和されると考えられるといった結果も見出されている。これらの結果は学会発表や論文としてもまとめられている。 これらの他に,グループ間の違いを評価するための1つの方法として,パフォーマンスアセスメントに着目し,これを活用した協同学習におけるコミュニケーションの評価について,ワークショップによる成果の社会的公表も行っている。 本年度の時点で,授業の中間時点や後半にかけてのグループ間の違いについて検討も進めており,既に次年度に発表の予定が決まっているものもある。 なお,このような量的なデータの分析とともに,質的なデータの検討も進めており,これらの成果についての公表の準備も進められている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題においては,予定通り,昨年度の調査データに基づき分析を進めるとともに,本年度も追加のデータの収集を行っている。昨年度データについては,量的なデータの分析を予定通り進め,その中で階層線形モデルを用いた検討を進め,それらの一部は既に学会発表や論文としてまとめられ公表されている。また,質的なデータの分析も現在進んでおり,次年度において発表できるよう準備が進められている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き,量的なデータの分析について,階層線形モデルなどグループごとの違いに注目した分析を進め,グループ間差に関するさらなる知見を見出していく。このような量的なデータの分析と並行して,質的なデータの分析も進め,そこで得られた成果についても公表していく。さらに,この両者を総合した分析・検討を行うことで,グループ間の違いを総合的に捉える取り組みを進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
データ収集・分析にあたって,当初の計画では必要と考えていた程,使用額がかからなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の調査実施における経費ならびに分析に係る統計ソフトの購入に必要となる予定である。
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