研究課題
本研究は、学校危機事例に対して、学校はどのように長期的に、包括的対応を進めていけばいいのかを明らかにすることを目的とし た。まず、事件の影響を受けた児童生徒の回復や成長につながる学校組織・学校経営への介入的な支援、学級経営のための教師への支援 、学校段階間の連携の進め方、さらなる安全感、安心感、信頼感を高める学校安全への取り組み(再発防止策)などを継続して実施した。これまでの支援経験に基づき、児童生徒の卒業後の学校の体制と卒業生への継続的支援について検討した。教員へのコンサルテーションは、毎週実施しているコーディネータ ー、カウンセラーとのミーティングで情報交換をするなかで随時実施した。要支援、要配慮の児童生徒の保護者とは、コーディネーターと協議しながら定期的にミーティングを設定した。学校危機メンタルサポートセンターにおいては、支援に関して、一定の情報を発信し続けるなかで、支援が押し付けにならないように配慮し、ホームページによるトラウマ心理相談室の活動の広報、問い合わせに対して十分に対応する取り組みを継続した。ここまでの取り組みの成果は、学校危機事例だけでなく、東日本大震災の影響を受けた学校における中・長期的な支援にむけて利用可能な資料を作成し、研修会、相談、コンサルテーション等で活用することを目指した。岩手県、福島県、宮城県に於ける研修会で、学校安全の推進のための取り組み、トラウマケアに向けた取り組みの進め方などについて配布資料を作成し、参加の教職員に向けて講義する機会を持った。また、岩手県沿岸部、福島県の学校訪問の機会には、学校コンサルテーションや個別の事例についての相談活動において、取り組みの成果を生かすように助言を行った。
2: おおむね順調に進展している
平成28年度の研究実施計画に沿って、介入的実践が進行し、随時、教職員や保護者を対象にしたコンサルテーションが実施できた。さらに、研修会やコンサルテーションにおいて、研修成果の活用や普及を進めている。
介入的支援の実践について、支援一覧表にそって実践を継続する。実践的介入について検証を試みる。さらに、教職員研修等の機会をとらえて実践成果の活用と普及に努め、評価を受ける。国内外の学会に参加することで実践内容やこれまで得た評価内容について報告する機会を活用し、外部からの評価を受ける。あわせて、介入的支援の実践について公表して普及する機会とする。
支出予定の旅費について、天候不良のため、経路及び滞在日数を変更せざるを得なかった。その際に、予定していた旅費と実際の旅費に差額が生じた。
本年度の旅費などと合算して、使用する予定である。
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日本学校心理士会年報
巻: 9 ページ: 129-131
学校危機とメンタルケア
巻: 9 ページ: 103-117
International Journal of Psychology
巻: 51(Supplement S1) ページ: 657